2004 Fiscal Year Annual Research Report
自己信頼とケアの道徳教育:エマソン.デュ-イ.カベルの道徳的完成主義の研究
Project/Area Number |
14510265
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 直子 京都大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (20334253)
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Keywords | 道徳的完成主義 / デューイ / エマソン / カベル / 教育哲学 / 道徳教育 / 異文化間の哲学的対話 / プラグマティズム |
Research Abstract |
本研究は、日本、英国、米国において、連帯と公共性の形成に貢献しうる「生き方としての民主主義」のための教育倫理を再構築するために、アメリカの哲学者、エマソン、デューイ、カベルの「道徳的完成主義」の系譜の意義を解明し、「自己信頼と他者へのケア」という視点から、道徳教育における新しいパラダイムを提言することを目指した。研究の手法としては、文献研究や比較研究にとどまらず、海外の研究者との異文化間の哲学的対話に根ざした「教育の哲学」のアプローチを取り入れた。 平成16年度は、(1)これまでの成果を基に、論文を数多く出版し、また英語の著作の最終原稿の契約を、アメリカのFordham University Pressと結ぶことができた。(2)また、カベル氏をハーバード大学に二度訪問し、The Senses of Waldenの翻訳作業が完成に向けて大幅に進んだ。(3)海外協力研究者を京都大学に1ヶ月間招聘し、同研究課題に関わるセミナー、講演会の開催を通じ、日本の研究者、学生との対話のネットワークを一層促進した。(4)イギリス教育哲学会(4月)、教育哲学者国際ネットワーク年次大会(マドリード)(8月)において発表を行ない、同研究課題の教育的意義が異文化間対話を通じて一層明らかになった。 三年間の研究を通じ、デューイ、エマソン、カベルの「道徳的完成主義」の思想の哲学的基盤が明らかになり、彼らのアメリカ哲学が、「自己信頼とケア」の倫理を基盤とする、広義の道徳教育の意義が解明された。また、彼らの思想が、日英米の道徳教育、市民性の教育が共通に抱える問題への応用可能性が開けた。また、海外協力研究者のみならず、アメリカ、イギリス、ヨーロッパの研究者との対話のネットワークが飛躍的に発展した。とりわけ、世界市民の教育の領域において、アメリカ哲学における道徳的完成主義の思想が貢献しうる視点、領域、更なる発展課題が明らかになり、また一層の東西対話の必要性が示さるに至った。
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Research Products
(8 results)