2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本教育行戝政制度の構造・特質と教育政策過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
14510266
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 正人 東京大学, 教育学研究科, 教授 (20177140)
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Keywords | 二元代表制 / 日本の地方政府形態 / 教育委員会制度 / アメリカ教育委員会制度 / 教育長専任化 / 素人教育委員 |
Research Abstract |
本年度は、戦後日本の教育行政システムの大きな特徴をつくりだしている教育委員会制度の存在意義とその機能をアメリカの教育委員会制度改革との比較考察の作業を通じて明らかにすることに取り組んだ。 これまで日本の教育委員会制度は、文部科学省による地方教育行政の統制と集権的教育行政手法を担保するシステムとして見られ、地方自治体においては「閉鎖的」な教育行政運営を生み出す組織としても批判の的にされてきたことは否めない。しかし、分権改革の進展の中で、改めて、この教育委員会制度の存在意義やその制度のあり方が存廃論議も孕んで検討され始めている。それら日本の論議を相対化し比較考察のために2004年7月にアメリカ教育委員会制度の調査も行ったが、(1)各国の自治体教育行政システムは、各国の地方政府形態の有り様と密接に関わっているため地方政府形態の改革の文脈に意味づけて教育委員会制度のあり方を検証することが不可欠である、その意味でアメリカの公選制等の住民の直接参加型の教育委員会運営は日本の地方政府形態に適合的はない、(2)首長優位型の二元代表制をとる日本の地方政府形態では、教育委員会制度は他国と比較した場合にはその存在意義がある、(3)日本の教育委員会制度は、首長からの教育委員会の独立、専門家・教育長と素人・教育委員のチェック・アンド・バランス、合議制等の原理から、相互牽制が過度に働くシステムとなっており、委員会の活性化のためにはそれら原理を見直し、それぞれの役割を一層明確にした相互のアカウンタビリティが機能するシステムづくりが必要である、(4)そのために自治体の実情・条件等にそくした教育委員会の組織や運営の大幅な弾力化と教育長の専任化や首長の教育行政に対する役割を明確化する等の法制度改正が不可欠である等を明らかにした(科研費報告書に所収の論文を参照)。
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Research Products
(7 results)