政策転換期の高等教育政策に関する基礎的研究-1970年代を中心に-

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14510272
• Research Institution: Nagoya University
• Principal Investigator: 伊藤 彰浩 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 助教授 (60193471)
• Keywords: 高等教育 / 大学 / 戦後日本 / 政策研究 / 1970年代 / 国会 / 大衆化

Research Abstract

本研究では、(1)1970年代の高等教育政策に関連する資料の収集と整理、(2)それらの資料を用いての高等教育政策の転換過程の解明、さらに(3)以上をふまえての、よりマクロかつ長期的な観点・文脈からの70年代高等教育政策の位置づけ、の大きく3つの作業をおこなうが、14年度は主に(1)の資料収集・整理の作業にあてたとともに、すでに収集した資料を用いての予備的な分析もおこなった。
具体的には以下の作業を14年度に実施した。
1)政策関連資料・国会議事録、および新聞・雑誌記事の検索・収集
審議会等の答申・報告書、高等教育関連の政策文書、新聞雑誌の高等教育関連記事など未入手の資料を収集した。またすでに収集済みの資料のデータベース化をさらに進めた。特に高等教育に関する請願(衆議院へ提出のもの)のデータベースを整理し、提出時期・地域・内容種別などの分類コードや提出者の属性などのデータを付加し、本格的な分析に耐えうるものとした。
2)予備的分析(高等教育関連請願の分析)
上述のデータベースを用いて、主に1947年から1960年代にかけての高等教育関連の請願の内容分析をおこなった。特に高等教育機関の新増設関連の請願の内容に焦点を置いて分析し、これまで用いられたことのないデータに基づいての、当該時期の高等教育拡充要求のもつ特性の一面に迫ることができた。その内容の一部は、日本教育社会学会第54回大会(2002年9月、於:広島大学)にて口頭発表をおこない、さらに現在、より詳細な分析をすすめ、論文を執筆しつつある。この分析は今後の課題である1970年代の高等教育政策転換をみるための、重要な視座を与えてくれるものと思われる。