2004 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ教育アカウンタビリティ制度下における教育長・校長の職能向上プログラム改善
Project/Area Number |
14510274
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
坪井 由美 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50115664)
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Keywords | 教育長 / 校長 / 研修 / 教育アカウンタビリティ |
Research Abstract |
最終年度はハーバード大学大学院の都市教育長プログラム(Urban Superintendent Program, UPA)と、ヴァンダービルト大学ピーボディカレッジと地元ナッシュビル教育委員会との共催による校長研修プログラム(Principals' Leadership of Academy Nashville, PLAN)を観察し、主なスタッフへの面接調査を実施した。ハーバード大学大学院のUSPとヴァンダービルト大学のPLANを比較するなかで、リーダーシップそのものの考え方が質的に異なっていることがわかった。ハーバード大の講師陣たちの掲げるリーダーシップは、子どもの学力向上などに責任を負っているのは、学校長、教職員であり、教育委員会や教育長でもあり、それぞれの連携と責任が強調され、distributed leadership(分配的リーダーシップ)として理論化されている。また、ボストン学区では、こうした理論を生かし、最近、各校に教育課程づくりと授業改善のための協議体(instructional leadership team)を教職員を中心に編成している。 この考え方のベースには、No Child Left Behindの教育アカウンタビリティ制度が、連邦政府や州政府による学区や学校に対する学力向上にむけたトップダウンの一方的性格を強めてきている傾向に対する批判がある。すべてのアカウンタビリテイシステムは、一方向的ではなく相互性、相補関係(reciprocity of accountability)においてとらえ、運用していかねばならないとする。 一方、ヴァンダービルト大学の校長研修プログラムPLANでは、校長は場合によってはCEOとして振舞うことへも対応したプログラムになっている。ナッシュビル学区では校長には校長としてのテニュアはなく(教員としてのテニュアはある)、毎年数パーセントの校長・教頭から教員への「降格」人事が行われ、強いリーダーシップが期待されている。
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