2004 Fiscal Year Annual Research Report
人工内耳装用児の聴能の発達に及ぼすコミュニケーションモードの違いによる影響
Project/Area Number |
14510296
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 信雄 愛媛大学, 教育学部, 教授 (70132719)
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Keywords | 聴覚障害 / 人工内耳 / コミュケーションモード / 聴能 / 聴能の発達 / 言語力 / 聴取能力 |
Research Abstract |
新たな対象児として幼少期から手指を併用した幼児2名を加えた。同じ聾学校の幼稚部に学ぶ子どもであるが、今までの子ども達とは異なる様相を示した。これらは、聴覚の利用に対する姿勢上の問題とみなせた。1,コミュニケーションモード:主として生活する場でのコミュニケーションの様式に依存する傾向が認められた。聴覚からの情報の受容を主にする通常学級で学ぶ子どもは、聴覚への依存度が高まり、手指を使用しなくなっていった子が多かった。一方、装用1年目で聴覚への意識的使用が少ない教育環境下では、親や周囲の働きかけ方等を含め、手指への依存度が高く聴覚活用が進まなかった。周囲の係わりについて検討が必要である。2,意味ネットワークの拡充は、手指(日本語対応手話)を利用しても必ずしも十分ではなかった。しかし、就学前後から就学初年度へかけて生活環境の著しい変化に伴い、言語概念にも拡がりが認められ子どもが多かった。3,話しことばの習得状態:話しことばの明瞭さは、プロソディ、イントネーション、声の質、方言的いい回し等が著しく改善し、装用年数に比例して明瞭度が高くなった。特に就学前年から就学初年度に改善が著しかった。4,聴覚学習への影響:反対側の補聴器は、人工内耳での聴取能力が高まるにつれて機能しなくなる傾向があった。環境音の受聴能力および単語や文の聴取能力は著しく改善されたが、個人差が大きかった。コミュニケーションモードによって聴能の発達に影響を及ぼすというよりは、係わる周囲の側の聴覚活用への姿勢によって、装用児の聴覚活用能力に著しい影響が生じるものと推察された。
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