2003 Fiscal Year Annual Research Report
「日本型学校モデルの可能性」-教師役割の改革とサポートシステム-
Project/Area Number |
14510298
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
油布 佐和子 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (80183987)
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Keywords | 日本型学校モデル / 教師と生徒の絆・関わり / 学校スリム化 / NPO / 機能システムの進展とケアの総合性 |
Research Abstract |
わが国の学校教育の顕著な特徴は、子どもと教師の「絆」や「関わり」が強調さ.、そうした関係性の中で全人教育がなされる点にあると指摘されてきた。しかしながら近年、学校の肥大化や教師の加重負担という点から、「日本型学校モデル」は批判され、「学校スリム化」「学校機能縮小論」という議論が登場している。 本研究では、こうした「日本型学校モデル」のメリットとデメリットについて検討し、その可能性の考察を目的とした。 前年度調査では、「日本型学校モデル」の特徴が必ずしもわが国独自のものではないこと、多様なニーズを抱える子どもの増加に伴い、学校がますます子どもに総合的に関わらざるを得ないことが明らかになった。その際問題となるのは、学校組織成員の誰がどのように児童・生徒への包括的な関与を担うのか、という点である。最終年度である本年度は、こうした問題に焦点を当て、主としてアメリカでの事例の情報収集を行った。 その結果、「普通の子」に対しても、コミュニケーション能力の涵養や、感情のコントロールと言ったような情緒面での指導などが、ますます必要とされているということ、そうした状況の中で、学校と地域、諸機関をつなぐNPOなどの数多くの団体が作られ、それが学校と協力関係を作りながら活動しているという実態が明らかになった。多様化する教育的ニーズと、それに関わる人々の専門分化という状況の中で、そうした状況を「つなぐ」「関連づける」機能が必要とされ、それを担う団体・職業が独自の役割を果たしていたのである。 こうした問題は、理論的には、機能システムの進展とケアの綜合性という観点から検討することが可能である。同時に、臨床的・政策的な観点に立てば、学校内職員の負担加重にならないような方策で「日本型学校モデル」の可能性を探るならば、アメリカのようなNPOの存在と活動が今後のポイントであるとまとめられる。
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Research Products
(2 results)