2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510345
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三田 武繁 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (50241279)
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Keywords | 貴族社会 / 家格 / 摂関家 / 五摂家 / 九条家 / 九条家文書 |
Research Abstract |
本研究は、五摂家の一つである九条家に注目し、同家に伝来した記録や文書等(現宮内庁書陵部所蔵、以下、「九条家本」と略称)の検討を通して、家格の秩序によって構成されていた中世貴族社会における家の成立および家の継承の具体相を解明しようとするものである。しかしながら、主たる検討対象の「九条家本」の概要を把握する上で必要な目録類がまとまった形で公開されていないため、本年度はまず「九条家本」の目録の作成および内容に即した整理をおこなった(ただし、宮内庁書陵部で閲覧可能な同部既整理分のみ)。その結果、貴族社会において必要とされる朝廷の諸行事に関する知識や先例についての記録類が「九条家本」に多数含まれていることが判明した(管見の及ぶ限りでは、従来の研究においてこれらの史料は利用されていない)。また、本年度は、如上の史料の調査や整理に加え、予備的考察として、平安時代末期以降の摂関の交替事例や、同期以降の家の継承および分立についての分析をおこなった。このうち、とくに家の継承者の昇進のコースやスピードに注目した後者の分析の結果、1220年代から1260年代(摂関家が近衛流・九条流の二流から五摂家に分裂する時期に相当)における摂関家の継承者の昇進スピードが前後の時期に比して相当程度速いことや、1270年代以降、貴族社会を構成する各家の継承候補者が単独化する傾向が強まったことなどを確認することができた。
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