2003 Fiscal Year Annual Research Report
14〜15世紀における畿内在地領主の政治的動向-和田家文書の分析を中心に-
Project/Area Number |
14510360
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
市澤 哲 神戸大学, 文学部, 助教授 (30251862)
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Keywords | 日本中世史 / 政治史 / 在地領主 / 畿内地域史 / 日本中世文書 / 和田文書 / 日本中世寺院史 |
Research Abstract |
本年度当初の研究目標は、(1)和田文書の全貌を把握するための所在調査および目録化、(2)和田氏が勢力を展開した和泉国・河内国南部における地域の政治史を研究すること、の二つであった。 (1)については、前年度以来、京都府立山城郷土資料館所蔵和田文書、尊経閣文庫所蔵真乗院文書、東京大学史料編纂所所蔵色川三中書写和田文書、国立国文学史料館所蔵徴古雑抄、『続群書類従』所収和田文書の5グループをリストアップし、その相互関係を追究してきた。本年度は、主に徴古雑抄全体を通覧するなかで、同書所収の和田文書がほぼ『群書類従』本を書写したのではないかという確証を得た。したがって、次年度以降は和田文書、真乗院文書、『群書類従』系和田文書の3グループに分けて、その相互関係を研究することになる。 (2)については、前年度以来進めてきた河内国金剛寺文書を活用し、鎌倉後半期から南北朝内乱期に至る当該地域の政治史を整理した(下記『ヒストリア』論文「鎌倉後期の河内国金剛寺」)。とくに、鎌倉末期に和田氏と重なるように高向と称する一族が、勢力を伸張しつつあったことを明らかにできたことは、収穫であった。和田文書のなかにも、楠木合戦を通じて新たな在地勢力が析出されてくる様子をうかがえる史料を発見したので、次年度以降、この論文をベースに和田文書の内容分析を一層進めたい。 その他の成果としては、まず諸史料の調査の過程で15世紀前半期の畿内某国の国衙領を書き上げた目録を発見した。この目録の作成経緯についてはほぼ明らかになりつつあるが、写しであるのでもとの体裁や伝来についていましばらく研究が必要である。しかし、他に類を見ない史料であるので、次年度初めに史料紹介できるよう、集中的に研究したい。次に、前年度に続いて、在地勢力を総括する中央政治史レベルでの研究も継続し、下記論文「文和の政局」を雑誌『文学』上に発表した。
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Research Products
(2 results)