2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510387
|
Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
堤 一昭 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70283835)
|
Keywords | 東洋史 / 中国史 / モンゴル史 / 元朝 / モンゴル帝国 / 大元ウルス / 史料学 |
Research Abstract |
本年度の研究の重点は、まず大元ウルス(元朝)の中国統治政策の基本構造を高官叙任状の様式の比較分析を通して研究すること、次にそれをも踏まえて江南(中国南半)統治の基本構造解明への糸口をつかむことにあった。 前者に関しては、『憲臺通紀』『南臺備要』といった典籍に含まれる御史臺高官の叙任状を悉皆抽出・リスト化し、それらが「大元ウルス書式」と呼ばれるモンゴル時代ユーラシア東西に通有な、多文字・多言語で残されている文書書式の一ヴァリエーションと考えられること、そして歴史学・文書学・言語学的にもきわめて価値の高い史料群であることを解明した。なお、日本史上著名な「蒙古国牒状」もその範疇に入るものである。つまり、御史臺高官人事に関わる文書といった政権中枢の制度・機構において、中華王朝の伝統的なものとは全く異なったモンゴル帝国各ウルス通有のものを維持されていたことが判明する。大元ウルス(元朝)は中華王朝的な外観にもかかわらず、その中枢部はモンゴル帝国の伝統を維持・発展させたものであったといえる。したがって、その中国統治機構・システム解明にもモンゴル帝国各ウルスのそれらを比較する視点が不可欠であることが確認された。 上記の成果を、平成14年8月12日〜14日に中華人民共和国・南京大学で開催された「International Conference on Mongol-Yuan Studies in Memory or the 100^<th> Anniversary of the Birth of Professor Han Rulin元代政治与社会国際学術研討会」(通算5回)で国際的に発表した。増補改訂を施し、日本でも発表する計画である。 後者の成果としては、モンゴルの一王家たる鎮南王家が江南統治体制に占める位置を解明することが、本研究課題において急務であることを発見した。それに基づき、原計画のマングタイ在任期政策の解明に先立って、こちらの成果を公表する計画に変更している。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] TSUTSUMI Kazuaki(堤 一昭): "A Study of the Edicts for Appointment of Censors-in-chief of the Yuan Dynasty"International Conference on Mongol-Yuan Studies in Memory of the 100^<th> Anniversary of the Birth of Professor Han Rulin-Handbook-Abstracts. 43-44 (2002)
-
[Publications] TSUTSUMI Kazuaki(堤 一昭): "An Introduction to studies on edicts for appointment of Censors-in-chief of the Yuan dynasty"International Conference on Mongol-Yuan Studies in Memory of the 100^<th> Anniversary of the Birth of Professor Han Rulin-paper. 1-16+1 (2002)