2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510393
|
Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
梅原 郁 就実大学, 人文科学部, 教授 (00027541)
|
Keywords | 法官 / 大理寺 / 審刑院 / 司理参軍 / 司法参軍 / 編勅 / 律令 |
Research Abstract |
平成14年度の実績報告書で述べたように、本研究に必要な、宋代を中心とした文献資料は、現在入手し得るものの90%を揃えることができたと言ってよかろう。それは、この研究の開始前に準備してあった、『宋史』『續資治通鑑長編』『宋会要輯稿』『文献通考』その他、歴史・制度関係の文献以外の、200種以上の宋代300年の「文集」、100種に及ぶ、雑記や随筆などの史料を通覧し、研究に必要あるいは関係する材料を逐一蒐集することから始めた。その結果、二年間で、約3500項目の史料を集め、それらすべての原文をファイル化して整備し、同時に重要な語彙は、あらゆる面から検索できるように、コンピューター処理をも行った。この結果、検索のための語彙数は、宋代法制・制度関係のものだけで、約3万に達した。こうして、目的とした、宋代の司法機構の総合的再現に必要な文献材料は整い、あとはそれらを駆使して報告書を作成するだけとなっている。 平成15年度の研究計画で触れたように、この年度には、主たる労力を、まず、蒐集した新しい材料の分類・整理に費やした。その結果はB-4版の約300枚が1冊となるファイル14冊に区分・整理できた。次にそれらを、既存の蒐集史料と逐一照合し、研究の裏づけとなる文献資料の内容の充実と精密化を心がけた。その作業も大体終了し、現在、次のようにして、報告書作成に取り掛かっている。本研究の中心は、中国の歴史の中で、大きなターニング・ポイントである宋代において、法律、法制、そしてその内容や担い手にどのような変化が生じ、それがどのような意味を持つかを明らかにする点にある。報告書の第一点は、宋代司法機構を構成する、中央の刑部、大理寺、審刑院を始めとした諸機関の詳細な内容分析と、その相互関係、そして宋代300年の間の変化とその意味の叙述に費やされる。いっぽう、地方においても、県、州、府や路のレベルで、司法の機構は前代とは格段に違って整備される。そうした問題を、従来触れられなかったものを含めて分析、叙述する。次に、宋代において、「法」を取り扱った人物、当時の言葉で言えば、「法官」「刑官」「獄官」が具体的にどのようなものだったかを、詳しく分析してみたい。そのあとは、宋代の「法」の性格全体につき、多くの角度から解明を行い、それが他の歴史世界の「法」と具体的にどう異なるか追求する。その中には、唐代の律令の変貌、宋代の法意識の変化といった問題も当然含まれる。
|
Research Products
(2 results)