2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510394
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Research Institution | TOYAMA NATIONAL COLLEGE OF MARITIME TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
北川 俊昭 富山商船高等専門学校, 一般教科, 助教授 (70270246)
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Keywords | 通典 / 杜佑 / 中国史学史 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、『通典』礼にみえる「説」・「議」・「評」の文章を考察したが、今年度は、特に12個の「議」を中心に検討した。すでに明らかにしたように「議」とは、礼の解釈にあたり拠り所とする経典が異なっていたり、関係する経典の記事自体が相互に矛盾する場合、経典の論理にしたがって適切な解釈を示したものを指す。その「議」の文章の内容を確認するために、まず逐条ごとの日本語訳を作成し、引用されている経書の出典や個々の参考文献を掲示した。 次に、早くから『通典』「議」の独自性を強調した内藤湖南氏の論説を整理するために、氏を顕彰した秋田県・鹿角市先人顕彰館を平成15年7月に実地調査した。そこでは、同顕彰館内の展示の参観や雑誌『湖南』を数冊入手することができた。また内藤湖南氏の学問を考察した各種の論考を参考にし、『通典』「議」の評価の前提に、王応麟の『玉海』や『困学紀聞』の評価が存在する点を指摘した。ただし、この指摘はまだ仮説の段階にあり、今後とも考察・論証を進めていくつもりでいる。 また11月には、就実大学付属図書館にある西嶋定生文庫を訪問した。周知の通り、西嶋定生氏(東京大学名誉教授・元就実大学教授)は、東アジア世界論の提唱や皇帝祭祀を中心とした礼制研究等で著名な東洋史家で、同文庫には氏が寄贈した旧蔵書があり、稀覯本を含む蔵書約2万冊をおさめている。そこで得た知見をも適宜利用して、前述した「議」の日本語訳のより正確な作成に役立てることができた。
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Research Products
(2 results)