2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510397
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 重郎 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (30323223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 裕 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (70151305)
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Keywords | アッシリア / 帝国 / 楔形文字 / アッカド語 / 支配 / 領域 |
Research Abstract |
今年度は、最終的目的である「アッシリアの領土支配と空間意識の総合的研究」に関わる諸史料および二次文献の収集と整理に重点を置いた。この作業は8割方終了し、残りは次年度に引き続き行い、完結する。 史料と二次文献収集の進行と共に、収集できた史料のうち、以下の史料を調査・分析し、関連データを収集、データ・ベースを作成した。:(1)1996年に公刊されたA.K.Graysonの史料集成を用い、前859年から745年の期間に作成されたシャルマネセル3世、シャムシ・アダド5世・アダド・ニラリ3世、シャルマネセル4世、アッシュール・ニラリ5世の王碑文、およびアッシリア高官による記念碑文(総数約150点)を調査した。その結果、新行政州および新植民都市の建設、あるいは行政州長官の権限と行政州の地理的範囲に関わる記述を約30件集め、データを年代順に整理した。(2)アッシュール出土の官僚石碑(約130点)を調査し、行政州長官の名とその統治領域に関する情報を含む碑文23点を抽出し、W.Andraeの音訳と翻訳(1913年)を、楔形文字の写しを基礎に校訂した。さらに、これらの碑文に見られるデータに関する人脈研究を行った上で年代学的考察を加え、年代順に整理した。 上述の作業進行状況を踏まえ、今後の研究計画の見直しを行った。その結果、次年度は以下の2点を目標とすることに決定した。:(1)エポニム表、ティグラト・ピレセル3世(在位前745-727年)の王碑文、および前9-8世紀のカラハ出土書簡の網羅的調査と関連データの収集・整理;(2)アッシリアの領土拡大の一側面を明らかにする個別研究として、遠方における交易基地(アッカド語のkaru/bit kari)に関するデータを収集・分析し、論文を執筆する。
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