2002 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジルにおける「公定多文化主義」と歴史意識の変容
Project/Area Number |
14510401
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鈴木 茂 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10162950)
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Keywords | ブラジル / 多文化主義 / 人種主義 / アフリカ系人 / 国民国家 / エスニシティ / 文化混淆 / 奴隷制 |
Research Abstract |
本年度は、3年計画の初年度として、本課題の全体的な構図の把握に努めた。具体的には,2002年8月26日〜9月27日まで,リオデジャネイロ,ブラジリア,サンパウロの各都市において,連邦,州,市の多文化主義政策に関し,政策担当者(法務省人権局,文化省パルマーレス文化財団,教育省「大学における多様性プログラム」,サンパウロ州黒人社会参加推進局,リオデジャネイロ市黒人問題審議会など),黒人運動団体・運動家からの聞き取りと資料収集を行った。また,招聘先のフルミネンセ連邦大学とサンパウロ大学において,研究者との意見交換の機会をもつ一方,9月21-22日にリオデジャネイロ市で開催された「第2回アフロ・ブラジル全国会議」に招待参加し,討議の内容をビデオテープに録画した。 さらに,リオデジャネイロでは,中等課程(日本の高等学校にあたる)の代表的なブラジル史教科書の執筆者と,歴史教育における多文化主義の影響について意見交換を行った。その成果の一端は,2003年1月に翻訳・出版した,シッコ・アレンカール他『ブラジルの歴史』(東明彦,アンジェロ・イシとの共訳で、鈴木は監訳も行なった)の解題「ブラジルの歴史教育」として発表した。 現地調査を終えた後,ブラジルにおける多文化主義政策の概要,および1988年憲法で導入された「逃亡奴隷集団」に起源を発するアフリカ系ブラジル人コミュニティ(「キロンボ」)に対する土地所有権賦与政策について分析した。その成果は未だ文章化するにいたっていないが,東京大学の「奴隷制社会の記憶と言説」研究会主催の以下の研究会で口頭発表した。 「ブラジルの多文化主義の現状と問題点」(2002年12月13日,東京大学駒場キヤンパス14号館 2階会議室)
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