2002 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ合衆国の連邦軍とマイノリティの関係をめぐる比較史的研究
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14510402
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中野 聡 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (00227852)
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Keywords | 現代史 / 政治学 / 軍事 / 移民 / アメリカ:フィリピン / 生活保護 / 高齢者 / 市民権 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ合衆国における連邦軍(国軍)とマイノリティ(少数派民族集団)の関係を、ふたつの比較史的視点--すなわちアメリカ国内のマイノリティ間および他国の国軍との比較史的視点--から事例研究および理論的考察を行うことにより、20世紀後半における脱植民地化、シティズンシップ、ナショナリズム、「戦争の記憶」の諸問題に対する歴史研究上の貢献をめざそうとするものである。平成14年度は、研究の第一年度として、とくにコアとなる事例研究であるフィリピン系第二次世界大戦退役軍人のアメリカ合衆国移民問題に関して、米国(2002年8月18日〜9月3日)およびフィリピン(2003年1月5日〜12日)において現地調査を実施した。1990年代に米国市民権を取得した高齢のフィリピン系退役軍人移民の生活支援問題は、米国のフィリピン系アメリカ人コミュニティにおいて重要なエンパワメント・イシューとなっている。そこで、米国ではフィリピン系アメリカ人団体全米連盟(National Federation of Filipino American Associations)の全米会議およびフィリピーノ・グローバル・ネットワーキング・コンファレンスを参与観察し、この問題が9・11事件後のフィリピン系アメリカ人コミュニティの間でどのように文脈化されているのかを調査分析した。また、米国市民権を取得した退役軍人移民の一部(約2000名)は、米国連邦議会がその生活保護手当てをフィリピン在住の場合にも支給する法案を成立させ、この特別措置の実施が開始されたために、フィリピンに「帰国」している。この事情について調査するためにフィリピンを訪問し、合わせてエルピディオ・キリノ大統領文書(アヤラ博物館付属図書館)等で文献調査を実施した。その研究成果を雑誌・図書に発表するとともに、アメリカ史研究者夏季セミナー(2002年9月)において口頭発表した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 中野 聡: "ビー・アメリカン!-第2次世界大戦ベテラン問題とフィリピーノ・アメリカン・コミュニティ"アジア遊学. 39. 62-73 (2002)
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[Publications] 中野 聡: "フィリピン戦没日本人慰霊の営みと戦争責任の記憶"季刊 戦争責任研究. 37. 10-17 (2002)
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[Publications] Ryo Oshiba: ""We the people" in the global age : re-examination of nationalism and citizenship"Osaka : Japan Center for Area Studies, National Museum of Ethnology. 348 (2002)
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[Publications] 大津留智恵子: "アメリカの市民像とナショナリズム:グローバル時代の視点から"ミネルヴァ書房(発表予定). (2003)
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[Publications] 油井大三郎: "浸透するアメリカ・拒まれるアメリカ"東京大学出版会(発表予定). (2003)