2002 Fiscal Year Annual Research Report
中世北フランス・バポーム通過税の形成・展開と地域における社会的合意
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14510416
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山田 雅彦 熊本大学, 文学部, 教授 (90202382)
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Keywords | 中世都市 / 市場経済 / ステープル / 流通税 / 通過税 / バンリウ / 紛争と紛争解決 / 都市ネットワーク |
Research Abstract |
本研究は、11世紀末より15世紀までの北フランス・バポームにおける通過税制度の変容を地域社会の変化と関連させて跡づけることを目標とした。このため本年度は第1段階として、これまで準備してきたバポーム市史関係、及び北フランス中世都市史・同社会経済史関係の文献を体系的に読み、特に地域全域で新たな都市・農村関係ができあがってくる様子を、で域内最大の都市アラスとその付属領域の形状の変化という形でまとめてみた。まさに、バポーム通過税の生成と初期発展の時期とは、地域史的にはアラスが従来ほどの中心地機能を喪朱し、地域外縁部に新たな中小都市が叢生するという時期に相当していたことをこれによって確認した。逆に言えば、バポームにおける通過税徴収機能は、それ以前の時代におけるアラス市場を単一の中心とする地域経済管理システムが崩れた結果によって促進された側面があることを傍証したこどにな。実際中世初期から中期にかけては、アラスの流通税がアラスの都市領=修道院によってきわめて広域的・一元的に管理されていたが、これが12世紀にいたって局小化していった過程が史料から判明した。 他方で、北フランス域内北限に位置したもう一つの大都市サン・トメール市には当時ワインの一大独占的卸売市場が存在したが、バポーム通過税という流通抑制的要因の作動がこの一大市場にいかなるインパクトを与えたのか、この問題についても、夏期休暇中の現地文書館調査で収集した蛇管のバポーム通過税関係紛争文書を活用して、一つの論文を得ている。ただし、これは専らサン・トメール市のワイン卸売市場構造を、都市内生活の実状と関連させて.まとめた点に重きがあり、バポーム通過税問題としてはなお中間成果の域を出ていない。これについては次年度において新たな論稿を予定している。並行して、当初予定していた初年度における関連史料のデータベース化は少しずつ進めている段階であり、平成15年度末には一定の成果を書冊の形にして公にしたいと考えている。 この他特記すべき成果は、一昨年に刊行した自著をもとに、北フランスからフランドル全域を対象とした地域経済論を論じた論文と、同じく自著をめぐって開催された学会主催の合評会での討議結果を,共に小論ながら学術誌に公にしている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 山田雅彦: "中世ヨーロッパの地域・市場・権力-フランドル伯領の諸地域経済圏を中心に-"歴史科学. 168号. 17-28 (2002)
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[Publications] 山田雅彦: "A.フルヒュルスト『中世都市の形成-北西ヨーロッパ-』"社会経済史学. 68巻1号. 114-116 (2002)
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[Publications] 山田雅彦・城戸照子・堀越宏一: "山田雅彦著『中世フランドル都市の生成-在地社会と商品流通-』(2001年刊)をめぐって"西洋史学論集. 40号. 123-128 (2002)
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[Publications] 山田雅彦: "中世フランドル南部におけるワイン・ステープルの歴史的意義-13世紀サン・トメールの都市条例を素材として-"法文化叢書(第2巻・市場の法文化). 2巻. 39-62 (2003)
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[Publications] 山田雅彦: "中世北フランスにおける都市付属領域の形成-アラスの事例を中心に-"文学部論叢(熊本大学文学部). 78号. 11-41 (2003)