2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510431
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
阿部 祥人 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90175919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 丈彦 奈良文化財研究所, 研究員 (90343003)
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Keywords | 下北半島 / 石灰岩洞窟 / 遺跡 / 旧石器 / 化石 / 人骨 / 動物 |
Research Abstract |
下北半島尻労地区において、今年春に実施した予備的調査によって合計6つの石灰岩洞窟発見した。そのうち、夏の本調査では最も低位にあり、アプローチのしやすい安部洞窟1の発掘に主眼を置き、発掘調査を8上旬に行った。 尻労安部洞窟1については、昨年の試掘で縄文時代の遺物を包含していることが判明していたため、なるべく広範囲にそして下部の深い包含層の検出を目指した発掘を約10日間実施した。短期間ながらも6m^2を約1mの深さまで掘り進めることが出来、その結果、縄文時代後期を中心とする土器片とともに石器・人骨・骨角器・獣骨・魚骨・貝類などを検出した。各層準とも、大小の石灰岩角礫を大量に含み、土壌は粘性を帯ぴ、洞窟内の現地で小形遺物を発見するのは困難であると判断し、発掘した土壌はすべてメッシュのフルイによる水洗を行った。この作業によって、人骨・小形石器・骨角器をはじめ大量の獣・魚骨類など縄文時代の重要な遺物が発見することが出来た。 この洞窟の包含層は墓壙などの遺構が確認しにくい状況ではあるが、人骨は成人と乳(胎)児の最少でも2体の一部が出土していること、骨角器・石器などに精緻なつくりのものが目立つ点などを勘案すると、埋葬施設や副葬品としての性格にも留意しつつ、今後の調査を進めていく必要があると考えられる。また、本年度は旧石器時代の遺物の発見にはいたらなかったが、当遺跡の縄文時代中・後期を中心とする土器片は包含層の上部に多くみられたため、さらに下部に堆積している層準に、より古い時期の遺物が発見できる可能性が高い。
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Research Products
(1 results)