2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510488
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 不二明 岡山大学, 文学部, 教授 (70152353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 英範 岡山大学, 文学部, 助教授 (60236544)
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Keywords | 唐代 / 芸能 / 柳毅伝 / 伝奇小説 |
Research Abstract |
本研究の課題「唐代の芸能・行事と伝奇小説の相互関係の解明」について、1年目である平成14年度は、次の3つの分野にわたり基礎的な作業を進めた。 1、唐代伝奇小説を多く収める「太平広記』巻の中から、李朝威「柳毅伝」を選び、作品の中にあらわれた芸能、とりわけ演劇戯曲との関連性について分析をすすめた。この作品は古代神話や民俗宗教が濃厚に投影されており、本研究課題の対象にふさわしいと考えられる。湖南や浙江など各地の習俗や神話や祭祀との関連からこの作品を再解釈し、演劇や芸能と小説との微妙な相互関係に一つの結論を打ち出した。(岡本担当) 2、唐代芸能では「踏揺娘」「参軍戯」「三国戯」などの寸劇や歌劇が知られる。それらはおおむね宮廷や役所や寺院の戯台で演じられた。それらの演目内容と各地に存在した先祖崇拝、古代神話、駆儺、節句行事などの伝承や儀礼がどのように相互に関係しあっていたのかを、「文苑英華」「全唐詩」「全唐文」「太平広記」などを対象として、幅広く予備的な調査をおこなった。(橘担当) 3、唐代伝奇小説の制作発生の場と芸能の伝達者を想定してみた。前者については仏教や道教の寺院があげられる。俗講という仏教の語り物が、次第に芸能化したことと関係している。後者の芸能の伝達者としては、宗教者以外に、商工業者があげられる。それは従来指摘されては来たが、実態は必ずしも解明されていない。具体的には西胡商人や茶塩商人などが芸能の伝達者として想定されるのであるが、各種の筆記史料から目下正確なデータを調査中である。最終年度である来年度には結果を出す予定である。(岡本担当)
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