2004 Fiscal Year Annual Research Report
『文選』李善注を活用した文学言語の創作に関する研究
Project/Area Number |
14510489
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
富永 一登 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70132636)
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Keywords | 文選 / 李善注 / 胡刻本 / 五臣注 / 六朝文学 / 昭明太子 / 六臣注 / 六朝美文 |
Research Abstract |
本年度も、昨年度に引き続き、すでにデータベース化している胡刻本『文選』・「李善注引書索引」の点検作業と六臣注『文選』のデータベース化を行い、次にそれを利用して、正文語彙とその典拠を指摘した李善の引書を抽出し、正文語彙に訓読文・日本語訳を付けて、李善注に引く典拠、五臣注との対照表を作成する作業を行った。形式は昨年と同様で次のようである。 〔巻一、班固「兩都賦」序の「或日、賦者、古詩之流也。」[李善注]毛詩序日、「詩有六義焉。二日賦」故賦爲古詩之流也。/諸引文證、皆擧先以明後、以示作者必有所祖述也。他皆類此。/〕について、 ○或日 ある人が言う なし 向日、或者、不定之辭。巻一班固「兩都賦序」1b或日、賦者、古詩之流也。(或ひと曰く、賦は、古詩の流れなりと) ○賦 文体の名 毛詩序日、「詩有六義焉。二日賦。」(周南関雎序)故賦爲古詩之流也。なし 巻一班固「兩都賦序」1b賦者、古詩之流也。(賦は、古詩の流れなり) ○古詩 古代の詩 毛詩序日、「詩有六義焉。二日賦。」(周南関雎序)故賦爲古詩之流也。なし 巻一班固「兩都賦序」1b賦者、古詩之流也。(賦は、古詩の流れなり) この形式の語彙データの作成を来年度も引き続き行う予定である。 また、本研究の『文選』李善注を活用して、文学言語が継承・創作される過程を解明しようとする目的にそって、「孤」を用いた言葉の陶淵明に至るまでの使用例を考察し、また李善注引「子虚賦」「上林賦」及び陸機・潘岳の詩文の後世への影響を検討し、論文にまとめた。この方向では、単独の作品としては李善注に最も多く引用されている「西京賦」に関しても同様の検討を行い、六朝文人の修辞方法について考察中である。
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