2003 Fiscal Year Annual Research Report
阮籍・〓康の受容から見た、六朝詩文における言志の伝統と表現営為の意味
Project/Area Number |
14510493
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大上 正美 青山学院大学, 文学部, 教授 (00042705)
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Keywords | 六朝文学 / 阮籍 / 〓康 / 陶淵明 / 江淹 / 言志 / 詠懐詩 / 〓信 |
Research Abstract |
中国文学の基核をなす「言志」の精神とは何か。また、個々の文学者にあってどのように発揮されるか。その典型的な様相を、これまで三国魏末の阮籍・〓康の文学のありように見てきたが、その伝統は以後の文学者にどのように受容され受け継がれていったか。阮籍・〓康の言志の文学精神を軸にした六朝文学の展開を見ることが、三カ年計画の本研究の目指すところである。 二年目にあたる本年度は、主として以下の4点を中心に検討した。 1:阮籍・〓康の言志性について、阮籍「東平賦」及び〓康「太師箴」について確認し、それらの作品を阮籍・〓康の全体的な表現営為の中で位置付けることにつとめた。成果はそれぞれの作品論として、できるだけすみやかに公表するつもりである。 2:昨年度には陶淵明の言志性の一端について、詩題に日付を刻んだ詩を通して確認したが、本年度は、主として「飲酒」「雑詩」「擬古」といった連作の作品群がどのような表現することの意味を抱え持っているかについて考察した。その考えの基盤となるものを、「言志の精神」という文章にまとめた。これは近々公刊予定の共編「陶淵明-酒と田園(仮題)」(東方書店発行)に掲載予定である。 3:江淹の「效阮公詩十五首」及び「待罪江南思北帰賦」を検討し、阮籍受容の江淹的な意味と限界について考えた。 4:以前から西順蔵の〓康を対象とした一連の思想研究に注目していたが、今年度はそれらの論文を精読し、その意味の大きさと深さを再確認した。それら思想論文からわれわれが目指す文学研究の可能性を探ることの意味を痛感し、成果の一端を報告した。
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Research Products
(1 results)