2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14510515
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長畑 明利 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 助教授 (90208041)
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Keywords | ハート・クレイン / ジョゼフ・ステラ / 抽象 |
Research Abstract |
平成14年度には主として、「抽象」の観点から見たクレイン作品およびステラの絵画の調査・検討を行った。より具体的には、(1)"No place for paragraphs" : The Correspondence between Hart Crane and Waldo Frank(University Microfilm International,1978)、Hart Crane and Yvor Winters : Their Literary Correspondence(U of California P,1972)等の資料を利用し、クレインの詩、評論及び書簡に見出される「抽象」の扱いを検証した。(2)Irma B.Jaffe, Joseph Stella(Harvard UP,1970)、Barbara Haskell, Joseph Stella(Whitney Museum of American Art,1994)をはじめとするジョセフ・ステラの作品集・研究書を利用し、ジョゼフ・ステラの作品及び発言における「抽象」の扱いを分析した。(3)これらの調査を補完するために、12月21日〜1月1日にニューヨークのコロンビア大学図書館及びホイットニー美術館を訪れ、資料収集及び調査を行った。コロンビア大学図書館では、同館所蔵のHart Crane Paperの一部である作品の草稿、未発表の手紙等一次資料を閲読し、ホイットニー美術館ではステラ作品についての調査を行うとともに資料収集を行った。 これらの調査により、クレインとステラの作品における抽象志向があらためて確認されただけでなく、ステラの場合にはその抽象化の進展のあり方を明らかにすることができた。一方、クレインの場合はその初期作品からすでに抽象の度合いが高いという事実が明らかになったが、クレインがなぜ抽象を志向したかの理由、また、その背景にクレインの同性愛性行があるのかを明らかにするためにはさらなる資料の分析が必要である。平成15年度には、特にクレイン関連資料の分析を継続して行うとともに、分析の結果を論文のかたちにまとめる予定である。
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