2002 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法理論における中核的な統語現象と周辺的な統語現象の研究
Project/Area Number |
14510517
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大庭 幸男 大阪大学, 文学研究科, 教授 (90108259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 兼彬 甲南大学, 文学部, 教授 (70068146)
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Keywords | 中核的統語現象 / 周辺的統語現象 / 生成文法理論 |
Research Abstract |
分担者の1人(大庭)が、英語の中核的な統語現象であるwh疑問文と二重目的語構文について、生成文法理論の初期から現在まで提案されてきた一般的な規則や原理を整理し、これらの構文の特徴に適用し、新たな提案を行った。具体的には、wh疑問文では、特定性効果に焦点を絞り調査し、それを説明するために最近の理論で注目されているフェイズという概念を用いて分析した。また、二重目的語構文では、無生物主語を伴うものを研究対象とし、その特徴と構造について考察した。これらは、それぞれ、財団法人「語学教育研究所」から出版予定の『市河賞三十五年の軌跡』と福岡言語学会から出版予定の『FLC30周年記念論文集』に掲載されることになっている。次年度は、多重wh疑問文と寄生空所構文を考察する予定である。 もう1人の分担者(有村)が英語の周辺的文法現象を考察した。この現象は、英語の一般的な文法から逸脱しており、習得者がそれとして意織的に学習しなければならない構文のことを言う。例えば、The more I hea,. the more interested I become.がその一つである。この文では「the+比較級」が単純に並列されているように見えながら、先行する文が副詞的働きを持ち、後続する文が主節となる(従来先行文のtheを接続詞とする見方もあった)。だとすれば、一般的に副詞節からは要素の摘出ができないと言われるか(Huang(1992))、この場合摘出に関してはどのような現象が観察されるか、照応形の可能性はどうなっているか、仮にこの構文が周辺的であるとした場合、そこで働く原理は一般原理と無関係なのであろうか、等々様々な問題がここから生じてくる。今年度は関係論文を検討して事例研究に努めた。次年度はこれを更に言語理論の問題との関係で考えていきたい。
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Research Products
(2 results)