2003 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法理論における中核的統語現象と周辺的な統語現象の研究
Project/Area Number |
14510517
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大庭 幸男 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90108259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有村 兼彬 甲南大学, 文学部, 教授 (70068146)
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Keywords | phase / specificity condition / indirect object / minimalist program / double genitive / head movement / copula / syntactic change |
Research Abstract |
分担者の一人であり、同時に、研究代表者でもある大庭は、昨年度、英語の中核的な統語現象であるwh疑問文と二重目的語構文について、生成文法理輪の初期から現在までの研究を網羅的に調査し、提案された分析、原理・原則を整理した。また、それに基づき、研究成果として「特定性効果とフェイズ不可侵条件」と「二重目的語構文の構造-分散形態論の枠組みを用いて」を発表した。前者は、最近の生成文法のフェイズという概念を用いて名詞句からのwh句の取り出しを議論したもので、『市川賞三十六年の軌跡』に掲載済みである。また、後者は無生物主語を伴う二重目的語構文を分散形態論の枠組みで議論したもので、『FLC30周年記念論文集』(福岡言語学会編)に掲載済みである。今年度は、引き続き二重目的語構文の間接目的語のwh移動を考察し、その研究成果を論文にまとめ、現在校正中である。これは、3月刊行の『言葉のからくり-河上誓作教授退官記念論文集-』(英宝社)に掲載予定である。なお、多重wh疑問と寄生空所構文についても研究を行ったが、その成果を発表するまでに至っていないので、引き続き研究を行う予定である。 もう一人の分担者である有村は英語に固有の(その意味で周辺的な)現象である二重属格(double genitive)と呼ばれる構造について研究し,"Rethinking the double genitive construction"という論文にまとめた.二重属格は,代表的にはthis friend of John'sのような形式であるが,ofで表される属格形と-Sで表される属格形が一つの構造に同時に生じる特異な形式で他のヨーロッパ諸語には見られない.この形式をKayne(1994)やden Dikken(1998)の提案を踏まえてその統語的特徴を検討した.一方で,this John's friendのような形式が中英語,初期近代英語では可能であったのに,18世紀後半を過ぎると見られなくなるという統語変化をどのように解釈すればいいか,現代英語の分析を基にして検討した.なおこの論文は近代英語協会の20周年記念号に採択され,校正中である.また,英語の統語的変化を扱ったOlga Fischer et al.(2000)の書評を発表した.英語の周辺的な現象として他に独立構文とも言われるwith構文(with Christmas coming soon)と叙述構造をなすas構文(regard him as a genius)にも興味を抱いており,den Dikkenの提案する連結動詞(copular verb)の分析をさらに拡大する可能性を探っているが,その成果を発表するには至っていないので,今後の問題点として研究を続けていくつもりである.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大庭幸男: "特定性効果とフェイズ不可侵条件"市川賞三十六年の軌跡. 202-210 (2003)
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[Publications] 大庭幸男: "二重目的語構文の構造-分散形態論の枠組みを用いて"FLC30周年記念論文集. 33-47 (2003)
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[Publications] 大庭幸男: "間接目的語と主題化/摘出規則"言葉のからくり-河上誓作教授退官記念論文集-. 159-176 (2004)
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[Publications] 有村兼彬: "Rethinking the double genitive construction"20周年記念論文集(近代英語協会). (校正中). (2004)
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[Publications] 有村兼彬: "書評,Olga Fischer et al. The Syntax of Early English (2000)"近代英語研究. 19. 73-81 (2003)
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[Publications] 大庭幸男: "The Double Object Construction and the Extraction of the Indirect Object"Linguistic Analysis. 21(校正中). (2000)