2003 Fiscal Year Annual Research Report
カリフォルニア研究―日英米文化交流の可能性について
Project/Area Number |
14510527
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
林 康次 愛媛大学, 法文学部, 教授 (60036449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 重敦 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (90189390)
加藤 好文 愛媛大学, 法文学部, 教授 (70136779)
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Keywords | カリフォルニア / 大航海時代 / ラテン文化 / アングロ・サクソン文化 / WASP / マイノリティ / グローバル社会 / アメリカ日系文学 |
Research Abstract |
本年度のカリフォルニア共同研究は、1.カリフォルニア州 2.南西部とカリフォルニア 3.イギリスと旧イギリス植民地の三方向から行った。関連して、アメリカの都市に関する口頭発表を行った。 カリフォルニア州は全米で最もマイノリティ増加率が高く実に多彩な文化的モザイク模様を呈しているが、同時に、白人対非白人のエネルギーが苛烈にぶつかり合ってもおり、21世紀における「周辺部」カリフォルニアの文学的・文化的重要性を指摘した。さらに個人的には、日本人や日系アメリカ人たちが強制収容所体験の影を引きずりながらも、一人のアメリカ人として生きていくために奮闘する姿を、文献研究ならびに現地調査で確認した。[以上、加藤]南西部とカリフォルニアという面から建築、美術、文学における歴史的、文化的連続性を追求した。文学ではポーターとキャザーの場合、スペイン、メキシコ、アメリカの三重の層にある南西部理解は不可欠であり、そこから新たな読みへの試みの知見を得た。今後、ニューメキシコのなかの「カリフォルニア州」と「ニューメキシコ州」の差異を辿りつつ、南西部のなかのカリフォルニアの本質たるアメリカ人に迫りたい。[以上、林]旧イギリス植民地からの移民を迎えるイギリス社会の問題点を考察し、制度的にも、日常的意識のレベルにおいても様々な差別があり、旧植民地出身の作家たちの作品にはそれが強く反映されていることを明らかにした。アメリカとイギリスの移民系作家の違いにおいてもそれら受け入れ国の社会の差異が大きな要因であることが分かった。より具体的に報告書の中でまとめられるよう研究を進めていく。[以上、野崎] 来年度は、文献研究に加え、上記三方向に沿ってフィールドワークを展開する。対象地域はカリフォルニア州のロサンゼルスとサクラメント、ニューメキシコ州のサンタフェを予定している。
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[Publications] 林 康次: "ミステリーと危機と探偵:ポーとトウェインの<痕跡研究>"マーク・トウェイン 研究と批評. 第2号. 62-70 (2003)
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[Publications] 林 康次: "キャサリン・アン・ポーターとメキシコ(一)-「花ひらくユダの木」(1929)試論-"愛媛大学法文学部論集(人文学科編). 第16号. 1-31 (2004)
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[Publications] 加藤 好文: "カリフォルニア・ロサンゼルス,今昔物語"世界の都市-その歴史と文化-. 12-15 (2003)
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[Publications] 加藤 好文: "スタインベックのカリフォルニア-「危機の時代」の自分探し"アメリカ帝国と多文化社会のあいだ-国際比較文化フォーラム21世紀. 43-58 (2003)
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[Publications] 野崎 重敦: "現代イギリスの移民とインド系英語文学-サルマン・ラシュディとV.S.ナイポール"アメリカ帝国と多文化社会のあいだ-国際比較文化フォーラム21世紀. 305-321 (2003)
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[Publications] 林 康次: "アメリカ帝国と多文化社会のあいだ-国際比較文化フォーラム21世紀"開文社出版. 410 (2003)