2004 Fiscal Year Annual Research Report
意味的類型論から見た日英語の比較:コーパスを用いた事象構造化パタンの研究
Project/Area Number |
14510544
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 曜 神戸大学, 文学部, 教授 (40245303)
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Keywords | 意味的類型論 / 移動動詞 / 経路表現 / 認知意味論 / コーパス / 語彙化 / 使役移動 / 視覚移動 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度として、収集された資料をまとめたデータベースの作成と、研究成果のまとめと発表のに重点を置いた。 まず、データベースに関しては、移動などの言語表現を複数の言語で比較する際に重要な資料となるFrog storyの日本語データを10名の日本語話者から収集した。さらにそのデータを、昨年までに収集したデータと合わせてデータベース化した。また、2002年度に公開した移動表現に関する膨大な文献リストを追加改訂し、ウェブ上で公開した(http://www.lit.kobe-u.ac.jp/〜yomatsum/motionbiblio.html)。文献数は990に達し、研究テーマ別の構成にしたため、利便性が高くなっている。 研究成果の公開に関しては、理論的な研究と日本語・英語のコーパスの調査にもとづき研究を進た結果を4つの論文をまとめた。それは、1)経路の多様性に関するもの、2)直示的経路に関するもの、3)使役移動と視覚移動の語彙化パタンの類型に関するもの、4)単一経路の制約に関するものである。1)から3)はTalmyの移動表現の類型の改訂を提案したものであり、経路がTalmyが仮定していたのよりも多様な形で表現できること、また、移動以外の事象の表現においては、移動の場合と異なるパタンが見られることを主張したものである。4)は移動以外の経路表現も含めた経路表現に関するGoldbergの提案を改訂したものである。その内容の一部は学会などで発表した。特に、日本英語学会の第22回大会においてシンポジウムを開催し(コーディネーターおよび発表者)、研究成果を発表すると同時に、ほかの研究者との意見交換を行った。執筆した論文は投稿中、または投稿へむけて改訂中である。
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