2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510550
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Research Institution | Heian Jogakuin (St.Agnes') University |
Principal Investigator |
吉田 幸子 平安女学院大学, 現代文化学部, 教授 (20031693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 美和 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (90324962)
岡村 眞紀子 京都府立大学, 文学部, 教授 (80123488)
久野 幸子 愛知淑徳大学, 文学部, 教授 (60100707)
STEPHEN Slater 平安女学院大学, 現代文化学部, 教授 (80351237)
林 純三 平安女学院大学, 現代文化学部, 教授
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Keywords | 自殺 / 自然法 / 市民法 / 神の法 |
Research Abstract |
本研究はヨーロッパ社会における自殺観を検討するのが目的である。ヨーロッパの自殺観には二つの流れがある。一つは自殺を時には勧告することもあるギリシャ・ローマの古典社会の道徳に基づく自殺観であり、もう一つは旧約聖書および新約聖書に依拠し、自殺を最大の罪とするキリスト教の立場である。英国ルネッサンス期に法律を学んだ詩人にして、のちには英国国教会の聖職者になったJohn Donneはこのキリスト教教会の自殺者への態度に疑念をはさみ、ヘレニズム文化とヘブライズム文化の自殺観の齟齬について、自然法、教会法(市民法)、神の法の3点から、法律文書と具体的事例にあたりながら考察した。本研究者らはDonneのこの問題の検討の過程およびその結論をふまえ、関連文献の収集を日本国内の諸大学の蔵書、英国では主に、Oxford大学のBodleian LibraryおよびBritish Libraryにおいておこなった上で、次の問題の解明を分担して扱った。 1.中世からルネッサンスにいたるキリスト教神学者の意見。 2.同時期に起こった歴史上の自然とその処置の実例の検討。 3.Sir Thomas Moreを含め、いわゆるユートピア社会の自殺。 4.中世の宗教劇およびルネッサンス期の世俗演劇の自殺者の扱い方。 5.ルネッサンス期に匿名で流布したバラードが示す自殺者への同情。 以上の主題の検討に引き続いて、1660年英国における王政復古以降のいわゆる理性の時代を検討した。この時代になって、初めて自殺が宗教問題ではなく、社会問題となったが、この観点は現代社会の自殺問題に通じると結論づけた。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 齊藤 美和: "海外新潮「Ms Perdita Amissaを探せ」"英語青年. 5月号. 96 (2003)
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[Publications] 齊藤 美和: "海外新潮「伝記の今昔」"英語青年. 7月号. 234 (2003)
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[Publications] 齊藤 美和: "海外新潮「John Foxe Project」"英語青年. 9月号. 362 (2003)
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[Publications] 齊藤 美和: "海外新潮「形而上詩人の顔ぶれ」"英語青年. 11月号. 490 (2003)
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[Publications] 齊藤 美和: "海外新潮「遥かなる桃源郷」"英語青年. 1月号. 618 (2003)
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[Publications] 齊藤 美和: "海外新潮「庭師の意匠」"英語青年. 3月号. 745 (2004)
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[Publications] 岡村真紀子, 桂文子, 武田雅子: "ソネット選集"英宝社. 241 (2004)
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[Publications] John D.Cox: "The Devils and the Sacred in English Drama,1350-1642"関西シェイクスピア研究会. 20 (2002)
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[Publications] Jhon Kerrigan: "On Shakespeare and Early Modern Literature"関西シェイクスピア研究会. 20 (2003)
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[Publications] 村田辰夫: "三月兎の調べ-詩篇1909-1917"T.S.Eliot Review. 120 (2003)
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[Publications] 吉田幸子: "未来へのヴィジョン-英米文学の視点から-"英潮社. 288 (2003)
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[Publications] 吉田幸子: "Peregrinator : Essays on Literature in English to Celebrate the Seventieth Birthday of Professor Akira Yasukawa"Shouhakusya. 307 (2003)