2002 Fiscal Year Annual Research Report
DavidsonからMacDiarmidへのゴシックの系譜とモダニズム
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14510558
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
中島 久代 九州共立大学, 経済学部, 助教授 (90227778)
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Keywords | バラッド詩 / 伝承バラッド / スコットランド詩 / John Davidson / Hugh MacDiarmid / Robert Burns / モダニズム / ゴシシズム |
Research Abstract |
1.バラッド詩アンソロジー『英国バラッド詩60撰』の刊行 バラッド詩の系譜に於けるスコットランド・バラッド詩の位置付けに関連した成果として、共同編著により『英国バラッド詩60撰』(Sixty English Literary Ballads、九州大学出版会)を2002年11月に刊行した。本書に於いて中島が果たした役割は、(1)第一編著者とともに初期段階から企画構想を行ったこと、(2)語注と解説全体を責任者として編集したこと、(3)ゴシシズムとモダニズムを反映する20世紀の15作品を選定し、それぞれについてバラッド詩の系譜の中での位置付けを中心とした解説を執筆したこと、の3点である。本書の刊行によってゴシシズムとモダニズムのトータルな動向を示唆することができた。 2.19世紀スコットランドのゴシック・バラッド詩の変遷について 今年度の研究を終えて、スコットランド文学における伝承バラッドとバラッド詩の意義は、近代から現代への移行期にスコットランドの文化的アイデンティティの一端を担ったことにあることが指摘できる。19世紀初期のSir Walter Scottによるドイツ・ゴシシズムの輸入の影響を受けて、スコットに関わるバラッド・サークルの詩人たち、John LeydenとJames Hoggのパロディ化と心理化の傾向は次の時代のゴシシズムヘの進展を示し、またJoama Ballieの作品のフニミニズム的議論を喚起するストーリー展開は、時代に先駆けての女性の視点を読者にアピールする。これらは、近代スコットランド文学がゴシックを媒介にして独自性を確立して行った過程と見なすことができる。以上は、第22回日本ケルト学者会議(2002年10月)のフォーラム・オン「近・現代スコットランドの文学と社会」において、「ゴシック・バラッド詩の変遷に見るスコットランドの近代」として報告した。
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[Publications] 中島久代: "ゴシック・バラッド詩の変遷に見るスコットランドの近代"Celtic Forum(ケルト学者会議). No.6. 42-44 (2003)
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[Publications] 山中光義(共編著): "英国バラッド詩60撰"九州大学出版会. 285 (2002)
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[Publications] ロバート・バーンズ研究会: "ロバート・バンズ詩集"国文社. 539 (2002)