2003 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける「外国語」文学の成立理由とその現状
Project/Area Number |
14510565
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
西永 良成 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (00014514)
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Keywords | 亡命 / 外国語 / アイデンティティ / クンデラ / シオラン / ベケット / プロギディス / リツアンテ |
Research Abstract |
本研究「フランスにおける<外国語>文学の成立理由とその現状」の本年度(平成15年度)の課題は、(1)クンデラ、ビアンシオッティと再度インタビューの機会をもち、その記録を作成すること、(2)チェコ出身フランス語表現の詩人ヴェラ・リンハルトヴァー、フランスの文芸誌「ラトリエ・デュ・ロマン」編集長ラキス・プロギディス、トレント大学助教授ら、いわゆる<亡命文学>に関心を寄せるヨーロッパの作家、批評家たちとの討論、意見交換をおこなうことであった。 このうち、15年9月の出張時にミラン・クンデラと二日にわたる、本質的な議論の結果、この問題の考察にはビアンシオッティよりもむしろ、サミュエル・ベケットの仕事を再検討する方が有益なのではないかというクンデラの忠告に従い、現地でベケット関係の書籍・資料を収集してきた。さらに(2)については、とくにプロギディス・リッツアンテとの討論が有益であり、そのことの一端を「文芸年鑑」(平成15年度)に公表した。 次年度は、ベケットおよびシオランに関する考察を深めるとともに、世界化がいよいよ進展していくなかで、ヨーロッパの文学者たちが、いかにおのれの「アイデンティティ」を再構築し、それを創造力に結びつけようとしているのか、についても詳細に観察、調査し、フランスにおける<外国語>としてのフランス語表現作家たちの諸相と実像に迫りたいと考えている。
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Research Products
(2 results)