2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510598
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
神尾 達之 早稲田大学, 教育学部, 助教授 (60152849)
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Keywords | 文化学 / ドイツ文学 |
Research Abstract |
本年度日本独文学会春季大会において、「日本の視点からゲルマニスティクの新しいパラダイムを探る」と題されたシンポジウムに参加し、文化学(Kulturwissenschaft)の観点から日本におけるドイツ文学研究の展望を語る機会を得たので、来年度に予定していた「ドイツにおけるカルチュラル・スタディーズ受容の在り方から、日本のドイツ文学研究は何を学び取ることができるか?」という課題を先に扱うことにした。 <構築主義>は概念に負荷されているイデオロギーを摘出するための理論素であるが、構築を排除してニュートラルな言説を作ろうとするのではなく、むしろ構築することを積極的に推し進めるべきである。その際、特定の文学テクストを特権化するのではなく、<新歴史主義>と同じように、周辺部の他のテクスト群もそれと同一平面に並置しなければならない。E.カッシーラーやM.ウェーバーが文化を<ネット>として表象していたことも重要である。これら三つの理論素から得られる日本の文化学の戦略は、星座のイメージに凝縮される。文化学の課題は、複数のテクスト・作者・事件・問題・シンボルなどの星の間にあらかじめ差異を設けないことで、星座を構築し、それを相互主観的な水準で確認できるものにすることである。 なお、「ゲーテ時代の身体:切断されていた親指P、あるいはマイスターを迂回する身体」(5月:日本ゲーテ協会・シンポジウム)と「Bild und Schrift auf der Haut」(7月:立教大学文学部国際会議Schrift und Bild-Visuelle Kulturen in Europa und Japan)という二つの講演を行ったが、これらは、Kulturwissenschaftを文化学として輸入するという問題意識から発したケーススタディである。
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Research Products
(1 results)