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2002 Fiscal Year Annual Research Report

古代ロシア文語萌芽期の第二段階におけるハイブリッド性の多様さと重層性について

Research Project

Project/Area Number 14510607
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

岩井 憲幸  明治大学, 文学部, 教授 (60193710)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 服部 文昭  京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80228494)
Keywordsスラヴァトスラフの文集 / アルハンゲリスク福音書 / 古代ロシア語 / 東スラヴ語 / 古代教会スラヴ語 / ロシア語史 / ルシズム / スラヴ文献学
Research Abstract

岩井は『スヴャトスラフの文集』1073年の文献学的研究を行ない次のような特徴を見い出した。1.文字・字体につき,1)ЮСЫは〓・〓及びjotaのついた〓・〓が用いられ,更にjotaのついた〓が存する。この音価は要検討。2)ЪlはЪlとЫの2字体。3)〓・〓など右肩に鍵を有する字体が存する。4)合字のやや頻繁な使用。5)所謂spiritusは形と向きにより何種類か存するが,母音につく時は無意,子音につく時は有意で,この場合多くjersの省略を示す。2.言語面では次のようなrusizmが表われる。音と綴りでは,1)ЮСЫの誤った表記。2)語頭でのOCSЮ-, Е-に対しОУ-, О-の綴り。3)共通スラヴ語*djに対しЖ, *tjに対しЧで出現。4)共通スラヴ語の子音間の流音の結合はtъ/brt, tъ/bltで出現。形態では,5)動詞3人称・単・複数・現在は-тьで終わる。6)*о-stem名詞の単数・造格は-ЪМЬ/-ЬМЬ。7)*а-stem等,軟音変化における単数・生格・複数・主格あるいは対格に-〓の語尾が存在。8)人称代名詞ТОБ〓, СОБ〓の形が存する。概して本テクストは全体として伝統的なOCSに依りながらも部分部分で東スラヴ語化が進行したテクストであるとみられる。服部は前回に引き続き『アルハンゲリスク福音書』における動詞の過去形につき研究した。12世紀の古ロシア語文献ではアオリスト・未完了過去・完了・過去完了のの4形態が見られるが,未完了過去とアオリストは後に使用頻度が著しく減少する。この変化は,スラヴ祖語時代から継承されてきた未完了過去とアオリストが完了によって駆逐された結果と説明されてきた。これに対し東スラヴ語の日用語にはこれら2時制が存在しなかったという修正説がある。そこで『アルハンゲリスク福音書』の異読部分を分析してみると,そこに当時の日用語の実態を反映する例が散見することを見い出した。これは上記修正説を強く支持する証拠とみなしうると結論づけられる。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Publications (2 results)

  • [Publications] 服部文昭: "古ロシア語における未完了過去とアオリストの一考察-『アルハンゲリスク福音書』を中心として-"京都大学総合人間学部紀要. 第9巻. 65-82 (2002)

  • [Publications] 岩井憲幸: "『スヴャストラフの文集』1073年-その文献学的特徴若干について-"明治大学文学部紀要文芸研究. 第89号. 25-37 (2003)

URL: 

Published: 2004-04-07   Modified: 2016-04-21  

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