2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14510621
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
辻 星児 岡山大学, 文学部, 教授 (40108113)
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Keywords | 朝鮮資料 / 日本資料 / 捷解新語 / 朝鮮語史 / 日本語史 / 奎章閣 / 隣語大方 / 老松堂日本行録 |
Research Abstract |
本研究の目的は、朝鮮語史、日本語史研究の資料として重要な位置を占める日本資料および朝鮮資料を「日本・朝鮮資料」として総合的に調査研究することにある。具体的には1.諸機関所蔵の資料を調査し、資料の位置付けを行なう、2.主要資料の基礎的研究としてテキストの電子化、注釈、索引作成などを行なうことを企図している。15年度は、日本で資料調査と複写等を行ない、資料論的な位置付けと電子化と注釈等を行なった。以下に主要な調査と成果を記す。 調査は、(1)東京大学文学部小倉文庫、(2)東洋文庫、(3)東京中央図書館所蔵で行なった。(1)では、『捷解新語』原刊本、重刊改修本(共に刊本)、『隣語大方』『倭語類解』(共に写本)『韓語』等を確認した。このうち学界には原刊本の一部の紹介があるのみで、ほとんどは学界には未知の資料である。特に貴重な原刊本全体と重刊本の一部を撮影し、現在原刊本については全巻をCDにデジタル画像化する作業を行なっている。同時に、この東大本と奎章閣本との異同(とくに象嵌法による訂正個所)も調査し、一部に新しい発見(東大本が奎章閣別本と同じではない部分)もあった。(2)では、重刊改修本に記された朱円の調査(影印本では多くが不鮮明)を開始した。また(3)では同特別文庫室所蔵の資料調査を行ない、『隣語大方』(写本)その他を発見し、複写を得た。この他、同文庫には、朝鮮通信使関係の資料もかなり所蔵されていることも確認した。 主要資料の基礎研究としては、捷解新語三本巻一の注釈作業を行なっている。また、15世紀の朝鮮文献(『老松堂日本行録』など)に記された漢字表記の日本語を日本語史の観点から分析する作業を始めている。これは来年度5月、韓国の学会で発表する予定である。
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