2003 Fiscal Year Annual Research Report
中世ポルトガル語散文の形成への古仏語の影響に関するパソコンを用いた文献学的研究
Project/Area Number |
14510641
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
黒澤 直俊 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (80195586)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 裕司 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (20204703)
|
Keywords | 中世ポルトガル語 / 古仏語 / 文献学 / 中世散文の形成 / 聖杯物語 / 写本 / 間テキスト性 / 翻訳 |
Research Abstract |
本年度は,特に1)『聖杯の探索』Demanda do Santo Graalと2)『ヴェスパシアヌスの物語』Historia de Vespasianoについて集中的な研究が行われた.特に1)については,近年フランスで完結したFanni Bogdanowの『聖杯の探索』のエディションに従えば古仏語と中世ポルトガル語がほぼ一対で対応し,言語特徴を体系的に比較出来る箇所がかなりあることがわかり,OCRで電子化して双方のテキストの対照表を作成するなど比較,分析の方法が検討された.2)については中世ポルトガル語テキストの電子化が完了しているので,このデータベースを用い言語特徴の分析が行われた.なお,黒澤は別予算枠で平成15年12月31日から15日間ポルトガルのリスボンへの出張を行ったが,その際,本研究に関連する調査も行った.直接の目的はリスボン国立図書館において1496年にリスボンで出版された『ローマ皇帝ヴェスパシアヌスの物語』に関して、ファクシミリエディションにおいては印刷不鮮明であった箇所について確認することであったが,同時に,このテキストの翻訳の際の元となっていると思われているスペイン語版のテキストのコピーの入手や,同時期に同じ出版人の手になる16世紀初めの「マルコ・パウロの書」と呼ばれる『東方見聞録」のラテン語訳を介したポルトガル語訳の資料なども収集し,新たな研究素材を得るなど,今後研究を発展させる上での貴重な情報を得ている.以上,4年間の研究期間の2年目である,本年度の実施計画は十分に遂行されたと考える.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 黒澤 直俊: "中世ポルトガル語における聖杯物語群のテキストについて"語学研究所論集(東京外国語大学語学研究所). 第9号. 7 (2004)
-
[Publications] 黒澤 直俊: "On the Language of Portuguese Estoria do Muy Nobre Vespesiano"言語情報学研究報告(東京外国語大学). 11 (2004)
-
[Publications] 川口 裕司: "中世における翻訳-Li Fet dos Romainsの分析-"人間総合科学(人間総合科学大学). 第7号. 29 (2004)