2002 Fiscal Year Annual Research Report
離婚当事者の法使用における相談ネットワークと弁護士の役割
Project/Area Number |
14520002
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
村山 眞維 千葉大学, 法経学部, 教授 (30157804)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 敬明 千葉大学, 法経学部, 助教授 (80292811)
太田 勝造 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40152136)
|
Keywords | 離婚 / 家事紛争 / 相談 / ADR / 法律相談 / アクセスポイント / 情報探索行動 |
Research Abstract |
本研究は、協議離婚における財産問題を主な対象とし、離婚を望む当事者の財産問題の処理について、公的相談機関、特に自治体の提供する相談を中心とした相談ネットワークがどのような役割を果たしているのか、そのなかで、あるいはそれとは独立に、弁護士による助言が離婚における財産問題の処理にどのような役割を果たしているのかを明らかにしようとするものである。初年度である本年度は、東京都内のすべての区および市の提供している様々な相談のなかで離婚に関連する相談を行っていると思われるすべての窓口に質問票を送り、どのような資格を持つ相談員がどのような事柄について、どのような内容の相談サービスを提供しているのかを分析した。また、都内のいくつかの区役所において、上記の各種相談窓口の相談員から聴き取りを行った。この調査結果によれば、相談のサービスは、大別すると、(1)悩み事一般の相談、(2)法律相談、(3)カウンセリング、および(4)生活上の経済問題に分けることができ、(1)の多くは自治体の職員または元職員によって、(2)はいうまでもなく弁護士、(3)は心理カウンセラー、(4)は自治体職員によって提供されている。いずれも女性からの相談が多いが、特に(3)と(4)はほぼ女性を対象にしている。(3)のサービスが訓練を受けたカウンセラーによって行われていることはあまり知られていないように思われる。(2)はいくつか問題があるように思われた。それは、(1)相談希望者の数に応じた十分なサービスが提供されているとは言えないように見えること(区によって申込時間から5分で予約が一杯になる日もある)、(2)一回の相談の時間が全般的に短く、弁護士に個々の事情を十分に理解してもらったうえで判断を仰ぐような相談はできそうもないこと、(3)相談を受けた弁護士は相談者から受任できないため、弁護士を知らない相談者はさらに弁護士を探さなければならないことである。
|