2005 Fiscal Year Annual Research Report
「死」の自己決定権論の射程についての実証的・比較法哲学的研究
Project/Area Number |
14520009
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山崎 康仕 神戸大学, 国際文化学部, 教授 (00200668)
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Keywords | 安楽死 / 自己決定 / 家族 / 尊厳死 / 生命倫理 |
Research Abstract |
1.「死」の自己決定権論に関する実践的指針の作成 「死」の自己決定権論に関するこれまでの理論的研究に立脚して,医療関係者と共に重症疾患の診療倫理指針の作成にとりくみ,共著で一定の倫理指針『重症疾患の診療倫理指針』を作成した。 前年度には,医療空間における自己決定権の位置付けを多角的な視点から考察し,それを「医療空間において自己決定はどのような位置にあるのか----医療問題と公共性」において発表した。この論考は,今年度のこの診療倫理指針の作成にあたって,多角的な視座を提供すると同時に,法規範と診療倫理指針との関係に新たな視点を提出した。具体的には,『重症疾患の診療倫理指針』において,医療が法的な正当性をもつためには,まず医療の実践において医療の正当性をもつ慣行となる必要があり,そのためには,当該分野の医療専門家集団から幅広い了解と承認を得た医療慣行を樹立することが必要であると主張した。「死」の自己決定権も,医療の場では,そのような位置づけにあると示唆される。 2.「死」の自己決定権に関する研究発表 第22回IVR(法哲学・社会哲学国際学会連合)世界大会(於グラナダ)において,'Bioethics, Law and Globalization'という分科会で'Globalization and the East-Asian Type of Bioethical Norm'というタイトルで報告を行った。この報告は,西欧型の生命倫理のグローバル化の潮流の中で,東アジア型の生命倫理規範の必要性を説き,その中での「死」の自己決定権の在り方をも問うものであったが,残念ながら日程の都合上,ペーパーの提出で終わらざるを得なかった。 第6回東アジア法哲学シンポジウム(於台北)において,生命倫理関係での全体討論の司会を務める。 3.研究成果報告書の作成 研究の最終年度にあたり,研究成果報告書を作成した。
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Research Products
(1 results)