2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14520023
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
阿部 泰隆 神戸大学, 法学研究科, 教授 (80030617)
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Keywords | 行政訴訟改革 / 法とリスク / 大学教員任期制法 / 法科大学院、ロースクール / 法令コンプライアンス / 条例による国法を補う法政策 / 経済的手法 / 放置自転車対策 |
Research Abstract |
行政訴訟制度を権利救済の実効性、救済ルールの明確性、両当事者の対等性という視点から改正させるべく、理論的に研究して、行政訴訟検討会に種々の方法で随時働きかけ、ある程度実現させた。出訴期間、義務づけ訴訟、差止訴訟、仮救済などがそうであるが、なお、不十分である(阿部泰隆が参加したジュリスト1263号の「鼎談」参照)。これまでの原稿を整理して、次年度には「未完の行政訴訟改革」を出版する予定である。 大学教員等任期制法は、大学の活性化をもたらすのではなく、逆に大学内の多数派支配をもたらすもので、学問の自由を危機に陥れるものであるとの認識から、同法の法解釈論的、法政策論的な検討を行い、任期切れによる「失職」は「失職へと持ち込む免職処分」として、行政訴訟の対象となるものであると解釈し、大学の活性化のためには、大学教員スカウト法を制定すべきであると提言した。これも次年度には書籍として出版する予定である。 法のリスク、科学技術のリスクに対応する法制度の設計を試みた。 ロースクールが司法試験合格数と比較して、過大に設計された現実に鑑み、本来の合理的な設計と今後の方針について提言した。 順法精神に富んだ自治体を創るため、法令コンプライアンス・システムの構築を提唱した。 廃棄物法を補う条例の作り方を工夫した。 住民投票法について、現在提案されているものは違憲の疑いがあるので、合憲的なしくみを提言した。 国立公園の過剰利用対策として、経済的手法として、ネット入札を提唱した。 宝塚市パチンコ店条例門前払い最高裁判決を受けて、同条例の改正策を提言した。 いくら撤去してもハエを追うような放置自転車対策について、合法で且つ実効的な現場撤去を提言した。以上の政策法学的な実践例については、自治実務セミナーに連載している。また「政策法学講座」、「行政訴訟要件論」「内部告発制度の法的設計」を出版した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 阿部 泰隆: "大学教員任期制法による「失職」扱いに対する司法的救済方法(上・下)"自治研究. 79巻・12号. 63-78 (2003)
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[Publications] 阿部 泰隆: "大学教員任期制法による「失職」扱いに対する司法的救済方法(上・下"自治研究. 80巻・1号. 42-64 (2004)
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[Publications] 阿部 泰隆: "法律・裁判・責任ルール"環境リスクマネジメントハンドブック(中西準子ほか編)(朝倉書店). 478-492 (2003)
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[Publications] 阿部 泰隆: "自治体・官庁・企業版法令コンプライアンス制度"自治実務セミナー. 42巻・3号. 4-12 (2003)
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[Publications] 阿部 泰隆: "兵庫県産業廃棄物等の不適正処理の防止に関する条例案の検討とパブリック・コメントのありかた"自治実務セミナー. 42巻・4号. 4-13 (2003)
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[Publications] 阿部 泰隆: "ロースクール設置にこれだけの問題点 改革理念にほど遠い法曹陽性"[causa]カウサ. 11号. 28-32 (2004)
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[Publications] 阿部 泰隆: "法治国家充実のための法改革、行政訴訟改革-日本における阿部泰隆の提案-韓国公法学会報告"神戸法学雑誌. 53巻・3号. 1-35 (2004)
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[Publications] 阿部 泰隆: "行政訴訟要件論"弘文堂. 348 (2003)
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[Publications] 阿部 泰隆: "政策法学講座"第一法規. 343 (2003)