2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520032
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
安本 典夫 立命館大学, 法学部, 教授 (20066723)
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Keywords | 都市計画 / 公法性 / 都市計画事業 / 市街地再開発事業 / 再開発会社 |
Research Abstract |
今次研究計画は、3年間の予定で「都市計画法における公共性と財産権」をというテーマで、都市計画法を支え、あるいはそれによって実現されるべき公共性の内容を明らかにするとともに、その中で財産権、なかんずく土地財産権の特質と再編の方向を究明しようとするものである。その柱として(1)損失補償、(2)都市計画事業法制、(3)土地利用計画をたてた。当初は2002年度に(1)からとりかかる予定であったが、関連法制の2001〜2年の急激な展開を受けて、まず(2)の研究を行った。 そこでは、都市計画事業法制の改革において、公的統治団体によって集約された公共性に代えて新たな公共性が提起されているが、それは実体的にも手続的にも、市民に開かれた公共性というものではなく、市場原理の貫徹こそが公共性を実現する、というものであるといえよう。この研究をこの1年進め、研究会報告としては、都市計画事業法制全般の展開の中で論じ(2002.6)、論文としては、市街地再開発事業における「再開発会社」制度の創設に焦点をしぼって論じた(2003.3公刊)。本論文では、再開発会社が「地権者会杜」としての実体をもちえないものであること、会社の株主・社員となった地権者、ならなかった地権者、地区内住民、地区周辺住民、そして公的統治団体である都道府県・市町村には、その事業の公共性を確保する手がかりが法制上与えられていないこと、かくして会社という組織が「市場原理jで行動すること自体に公共性の担保が求められていること、しかし、そのために土地収用権という自由な取り引きの対立物が会社に与えられるのは最大の背理であることを論じた。
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Research Products
(1 results)