2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松川 正毅 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (80190429)
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Keywords | 公証人 / 紛争予防 / 相続法 |
Research Abstract |
相続法特に遺産分割に関する研究では、今年度は、代襲相続について論文を公刊することができた。遺産分割の中で相続人が誰であるかを知ることは重要である。それにもかかわらず、相続人の範囲を拡大することになる代襲相続という制度がある。その結果、相続人の確定が困難になる場合がある。現行法で代襲相続が採用されているのは、孫以下の相続の権利保護にあり、その根底には同時存在の原則など相続の基礎的な規則が存在していることが理解できた。本論文によって、法的なメカニズムを明らかにできたと思う。 フランスにおいて、相続人確定のテクニックと遺産の範囲の確定のテクニックを調査した。公証人の事務所に、相続人が全員参加し、相続人に関して、情報が集められる。戸籍は個人単位ではあるが、欄外にメモがなされ、親子関係が比較的容易に分かる。また相続人の範囲は、公署証書で証明してもらうことが可能である。相続人が原則として、公証人の事務所に集まるということの意味は大きく、相続財産の範囲、特別受益に関しても当事者に申告させることによって、妥当な結果を導いている。あえて、情報提供義務を規定することなく、公証人のリードによって情報が得られている。 紛争の予防に関して、わが国では、コミュニケーション能力の重要性が主張されている。紛争が生じないようにするには、当事者のコミュニケーション能力が重要であるとされている。これは紛争発生後にもあてはまり、その風土が調停、和解の土台を作っている。これに対して、フランスでは、コミュニケーションにのみに頼ることなく、むしろ当事者の合意を明確にしていくことによって、法の実現として紛争を予防している。その明確さを実現する過程に、公証人の果たす役割が重要であることが理解できた。この最後の問題点に関して、フランスのトゥールーズ大学で講演を行ない、Droit de la Famille, Juris Classeur雑誌に掲載されることが決まった。
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Research Products
(1 results)