2004 Fiscal Year Annual Research Report
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14520059
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Research Institution | Tbhoku-gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 哲 東北学院大学, 大学院・法務研究科, 教授 (70235050)
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Keywords | 附帯私訴 / 調停 / 社会福祉 / ADR / 和解 / 犯罪被害者 / 刑務所 / あっせん |
Research Abstract |
ノルウェーにおける刑事調停の創始者、ニルス・クリスティーエの近年の著作の中から、標記の論文「展望のルーツ」、「理想的な被害者」、および「危険な国家」の3点を翻訳して公表した。民事・刑事の紛争解決に直接的なものではないが、犯罪学を基幹としたものであるが、刑事調停を通じて民事的な紛争解決も図りうるとして、それを実践した著者の思想を知るうえで貴重なものであると考えている。 また、社会福祉における紛争についての実態調査を踏まえた研究として、「社会福祉法の定める苦情解決制度はADRとして機能するか」を公表した。社会福祉における事件・事故については密室において発生するものも多く、そのためか刑事事件を視野に入れざるを得ないものや、民事・刑事の手続に及ぶものが少なからずある。社会福祉の領域においては、平成12年社会福祉法が制定施行され、行政型ADRと事業主体に対する民間型ADRが義務付けられているが、行政型ADRに対する苦情申立て件数だけをみても年間3000件を超え、右肩上がりに推移し続ける。今回は、全国の運営適正科委員会の協力を得て、紛争解決の実態調査を試みたが、ADRすなわち裁判外紛争解決制度の知名度や理解不足のせいか、法が期待するほど十分な結果にはいたっていないにように思われる。法が行政型ADRの任務のひとつとしているあっせん件数の少なさはそれを物語る結果となっている。他面、総数として少ないながらも、満足的紛争解決の図れた案件では、民事、刑事のみならず行政的な解決に至るものもあり、ADRの長所を生かした手続が実践として行なわれていることがわかる。
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Research Products
(4 results)