2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520062
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
金山 直樹 慶應義塾大学, 法科大学院, 教授 (90211169)
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Keywords | 給付 / フランス民法典 / 契約 / 契約の相互依存関係 / 相当の対価 / 契約自由 |
Research Abstract |
今年度においては、昨年刊行した『注釈民法』の「給付」の部分(同新版(10)I44-323頁)で得た成果を前提に、個別具体的な契約を「解釈」する場合、「給付」に着眼することの有効性を示そうと試みた。具体的には、複数の契約の相互依存関係の側面に焦点を合わせた。この問題については、すでにリゾートマンション売買に関する最判平8・11・12民集50・10・2673があり、その分析に際しては、給付という視点が大切だと説いたが(同上55-58頁)、このような見方の妥当性と射程範囲を実例に則して確かめたいと思ったからである。そこで二つの事案を扱った。 第一は、いわゆるオーナーシステムにおける信販会社の責任を扱った東京地判平15・3・25判時1830号72頁である。これは、商品の販売につき融資をした会社が商品販売契約の瑕疵の対抗を受けるかという形で契約の相互依存関係が問題になったものである(拙稿・判タ1144号79〜81頁)。 第二は、マネジメント契約と専属契約の相互依存関係が問題になった東京地判平15・3・28判時1836号89頁である。ここでは、マネジメント契約が解除された場合に専属契約がいかなる影響を受けるのかが問題になった(拙稿・判タ1144号82〜83頁)。 以上のいずれにおいても、給付の視点から、複数の契約の相互依存関係を紐解いて一定のルールを定立しようとしたものである。なお、賃貸人が目的物を第三者に譲渡した場合における法律関係についても検討したが(拙稿・法セミ600号71-74・78-83頁)、これも契約の相互影響関係の問題の一環たる性質を持っていることを付言しておく。 本研究の特色である国際性に関しては、昨年度、フランスの学会で口頭発表した「フランス革命・民法典における契約の自由」に関して、仏語公表版を完成させるとともに、日本語版を発表した(民商法雑誌131巻2号183-224頁、3号372-417頁)。これは、本研究に直接関係するものではないが、契約自由の限界はそのまま給付内容の制限として現れるわけで、ややもすれば技術的な法解釈レベルの検討に陥りがちな本研究課題が契約自由とその規制というより広い視野の下で考察されるべきことを痛感した。
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Research Products
(6 results)