2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520073
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Research Institution | Ryutsukeizai University |
Principal Investigator |
鎌田 耕一 流通経済大学, 法学部, 教授 (30204605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向田 正巳 九州国際大学, 法学部, 助教授 (20341480)
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Keywords | 業務請負 / 業務委託 / 請負 / 雇用 / 委任 / 労働契約 / 労働者 / アウトソーシング |
Research Abstract |
本稿は2部に分かれている。 第1部:雇用と労働契約がその法的性質が異なることを、民法制定時からの学説史の分析から論じている。雇用・請負・委任を区別する意味と労働契約の類型的区分とは法的に異なる意味をもつことを論じている。 実際の業務委託契約書・業務請負契約書を素材にして、業務委託契約の一部を、民法上の雇用と解するべきであること、業務請負契約を、これまでの契約類型とは異なる、「労務サービス契約」と位置づけるべきだと主張している。本研究の独創性は、委託労働者(受託者)及び請負労働者のユーザーとの法律関係を考えるうえで、労働法上の労働契約とは別に民法上の雇用ととらえ、その規範原理について論じていること、及び、業務請負の法律関係について、労働者派遣、労働者供給、請負、委任とは別に独自に第三者の労働力をユーザーに供給する契約を新たな類型として定義し、その規範原理を明らかにした点にある。 第2部:まず、イギリス法を素材として、近代において生じたとされる契約法における契約の自由、および雇用契約法における契約の自由について明らかにし、近代雇用契約法が成立する基礎となった近代資本主義とはいかなるものとして成立したかを明らかにしている。次に近代雇用契約法と区別される労務供給契約法における契約の自由と従属について論じ、主に従属的自営業者について明らかにしている。雇用、請負、委任の区別に関し区別の困難な部分に着目して、それぞれの類似点が存在すること、そして類似点が生じた原因と沿革について考察し、最後に区別が困難な理論的根拠について明らかにしている。さらに現代雇用契約法・労働法の適用対象と被用者性について明らかにし、現代雇用契約法・労働法の基礎となる現代資本主義としての独占資本主義が労働関係に与えた影響について明らかにしている。独創的な点としては、まず、労務サービス契約の研究として、雇用契約から外れる労務提供の契約として従属的自営業者の結ぶ契約と、自営的労働者の結ぶ契約について明らかにしている点である。従属的自営業者について、自営業者の結ぶ契約の従属的な場合について明らかにし、雇用を従属的契約とし、委任や請負を独立的契約とする区別の基礎が失われていることを明らかにしている。また自営的労働者について、雇用契約の従属性から放逐され、社会から排除されている自営的労働者について明らかにし、彼らが共同体などの封建的従属からも解放され、また社会保障などを受けることもできないときは、生存の危機にさらされ、生きるため極端な従属に陥いらざるをえないこと、今日の社会不安を取り除くため法改正の必要なことを明らかにしている。
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Research Products
(3 results)