2002 Fiscal Year Annual Research Report
北京首都圏における政府間関係:北京直轄市と市轄区・市管県・衛星都市
Project/Area Number |
14520092
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
真水 康樹 新潟大学, 法学部, 教授 (80242387)
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Keywords | 区人民政府 / 街道弁自処 / 居民委員会 / 社区 / 社区建設 / 社区サーヴィス / 社区居民委員会 / 社区代表会議 |
Research Abstract |
本研究は北京市都市域における垂直的で直接的な権力関係に加えて、北京市政府と北京市の郊外にあたる農村部(=県)、さらには衛星都市との比較的間接的な権力関係とを、政府間関係として捉え、その実態を詳細に明らかにしようとするものである。初年度である本年度は、研究対象をまずは北京市都市域に限定し、そこで現在進行している「社区建設」に注目することとした。この変化は長らく続いてきた北京市の基層(=末端)社会の大規模な再編を含んでおり、1990年代以来さまざまな試みがなされてきたが、2000年秋以降の急激な変化は特筆に値する。この変化の重要性ゆえに、本年度の研究では、北京市の都市域で実施された社区建設=街居制の再編にまずは注目することとした。 都市における社区の登場の背景には、単位制の動揺・高齢化の進行・外来流動人口の拡大等の現象がある。これらの杜会的変化が引き起こす事態に対処するため、80年代以来、社区の概念が注目され始め、90年代後半になると社区建設が明確に目的化されるようなってきた。社区は従来の概念で言えば、街居制、すなわち街道弁事処と居民委員会のレヴェルにまたがることになるが、2000年後半以降、北京市では大規模な居民委員会の統合が行われ、居民委員会の数は僅か1年ほどの期間に3分の1程度にまで減っている。ここでは社区の自治能力の強化が指摘されるが、実際には社区居民委員会はその行政的役割と強めつつある。また、社区代表会議の設立等によってその代表性を強化しつつあり、このことは党の機能の強化とも関係している。 本研究は本年度、この社区建設が居民委員会と街道弁事処の関係、すなわ街居制に与えた影響について比較的多面的な考察を加えた。農村部の県や郷鎮、さらには衛星都市との関係が幾分水平的な要素を持ちうるのに対し、北京市の都市域では中枢から基層までは階統的で垂直的な権力関係が存在する。このハイアラーキカルな関係こそが北京市における政府間関係の中軸をなすのであり、まずはこの点が研究対象となったのである。今後は、こうした街道レヴェルまでの変化が区政府や市政府にとって持つ意味を分析し、垂直的な政府間関係全体について考察することで、北京市都市域における権力関係に目を向け、しかる後に、北京市都市域と県や郷鎮との政府間関係の研究につなげていきたいと考えている
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Research Products
(2 results)