2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14520103
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大澤 博明 熊本大学, 法学部, 教授 (70213684)
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Keywords | 天津条約 / 通商的外交観 / 陰謀史観 |
Research Abstract |
研究実施計画に従い、内外の1次資料収集を行うと共に先行研究の学説を検討し以下のような研究上の特色を抽出することができた。 一 全般的研究上の特色 第1に多くの内外の研究が天津条約に言及するにも関わらずその専論は極めて少ない。第2に、条約実質化と条約運営に関する基礎的実証研究がなおざりにされながらも、一定の評価が定着しているという特色が認められる。 二 日本での研究は条約の評価に関して主として3種類に分類できる。 第1は圧倒的多数説としての消極的・否定的評価である。第2は圧倒的少数派としての肯定的評価である。第3は政策転換としての画期ー積極策から消極退嬰策への転換としてー位置づけるものであり、現代の研究では見かけないものである。 三 中国での研究の特徴としては以下の三点が明らかになった。 第1は日清戦争の結果を基準とした評価が行われていること第2に謀略的外交手法を日本外交に投影させること第3に国際法上の属国と華夷秩序体制下の属国区分が曖昧であることである。 四 朝鮮での研究での研究では天津条約の評価は2分されている。 第1は朝鮮にとって全く意味ない条約として評価するものであり第2は天津条約によって朝鮮は利用できる時間を享受したのであるとする評価である。
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