2004 Fiscal Year Annual Research Report
韓国の民主制定着と市民参加:2002年地方選と大統領選を事例に
Project/Area Number |
14520108
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Research Institution | Gakushuin Univesity |
Principal Investigator |
磯崎 典世 学習院大学, 法学部, 教授 (30272470)
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Keywords | 韓国 / 民主化 / 参加 / 政党システム / 市民運動 / 2002年大統領選挙 / 2004年総選挙 / 地方政治 |
Research Abstract |
本研究の課題は、民主制定着期の参加の問題を、韓国を事例として考察することである。民主化後の韓国においては、既存の政党システムの下では「社会からの要求を反映しがたい」ことが問題にされてきたが、2002年の大統領選挙においては「新たな形式の参加」が注目され、2004年の総選挙の結果、既存の政党システムに変化がもたらされた。昨年度は、2002年の大統領選挙で登場した新しい参加を中心に扱ったが、今年度は、新しい政治参加と政党システム変化の問題、および、地方分権が進む過程での「地方における参加の組織化」と中央の政治構造の変化という問題を、総合的に検討した。研究の結果、明らかになったのは次の点である。第一に、2002年の大統領選挙、および2004年の総選挙においては、それまでの選挙とは異なり、「保守か進歩かというイデオロギー」が投票行動に重要な影響を与えるようになったという点である。なかでも、「対米・対北朝鮮」関係など外交安保をめぐる問題が、イデオロギー対立の中心として認識されていた。第二に、こうした新たな政治争点が顕在化した背景には、新たな形式の「参加」を通じた問題の争点化があったという点である。昨年度の研究で明らかにしたような新たな形式の運動が、「冷戦構造のもとで維持された前体制からの遺産」である問題の解決を要求するようになったことが、選挙における対立構図の変化、および政党システムの再編の重要な契機として作用した。第三に、地方政治に関しては、十分なリサーチが行われず、暫定的な結論に留まるが、統一地方選での組織化が大統領選挙や総選挙での参加に直結した明確な事実は発見できなかった。今後の検討が必要であるが、地方の変化が中央政治に反映するというよりも、中央政治が地方を決定するものとして重視され、国政選挙こそが地方での参加の組織化の契機となっているというのが、本研究での結論である。
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Research Products
(2 results)