2002 Fiscal Year Annual Research Report
R&D投資およびスピルオーバー発生下の寡占モデルの理論的考察
Project/Area Number |
14530011
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
春名 章二 岡山大学, 経済学部, 教授 (30136775)
|
Keywords | R&D / export / spillover / trade policy / duopoly / investment / three stage mode |
Research Abstract |
伝統的な貿易政策の分析ではR&D成果に関する他企業へのスピルオーバー(流出)がまったくない,技術の完全占有性の仮定を採用している.しかし現実には幾つかのルートを通して自らのR&D投資の成果がライバル企業に流れてゆく.この現実を考慮にいれて政府の貿易政策の考察を行った.企業が研究開発(R&D)投資を行い,そのスピルオーバーが存在するときの政府の最適貿易(輸出)政策を分析するために,クールノータイプの数量決定複占モデルを構築した.具体的には,第1段階で自国政府が輸出政策を決定し,第2段階では自国企業と外国企業がR&D投資を選択し,最終段階で両企業が輸出量を決定する.第1段階で自国政府は自国の厚生を最大にするように貿易政策を決定する.第2段階のR&D投資の成果は相互にスピルオーバーし,互いの生産コストを引き下げることができる.そして両企業は非協力的にR&D投資を選択する.第3段階においても両企業は自己の利潤を最大化するように非協力的に輸出量を決定する.このモデルによって最適貿易政策が輸出政策であるか否かはスピルオーバーとR&Dの相対費用の水準に強く依存することが明らかにされた.特に,相対費用が高いか,またはそれが高くはないが,スピルーオーバーの比率が相対的に高いときには,最適貿易政策は輸出補助金であることが導かれた.しかし最適政策が自由放任策または輸出税であることを完全に排除することはできない.比較静学分析によって輸出補助金の輸出とR&Dへの結果の間には1対1の対応関係が存在することが示された.つまり輸出補助金の増加は自国の輸出とR&D投資の増加を導く.貿易政策は輸出補助金であることが導かれた.しかし最適政策が自由放任策または輸出税であることを完全に排除することはできない.比較静学分析によって輸出補助金の輸出とR&Dへの結果の間には1対1の対応関係が存在することが示された.つまり輸出補助金の増加は自国の輸出とR&D投資の増加を導く.
|