2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14530038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮本 謙介 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00209941)
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Keywords | 都市労働市場 / 新国際分業 / 拡大大都市圏 / 内部労働市場 / 日本的経営・生産システム / アジア経済危機 / 新中間層 / 国際的労働力移動 |
Research Abstract |
本年度は、前年度までに筆者が現地調査で収集したミクロデータの統計整理に、新たに入手したマクロ・データを加えて、台湾とベトナムの労働市場分析を2編の論文に纏めた。「アジア開発最前線の労働市場(5)-台北首都圏の事例分析-」『経済学研究』(北海道大学)第52巻第1号(2002年6月)および「アジア開発最前線の労働市場(6)-ホーチミン市都市圏の事例分析-」『経済学研究』(北海道大学)第52巻第2号(2002年9月)である。 前者の台北首都圏の労働市場分析では、台北・桃園の日系企業と現地中小企業、それに新竹市のハイテク工業団地を対象とした。日系企業の明瞭な内部労働市場の形成、それと対照的な地場中小企業における同族的企業経営と労働者の高い流動性、ハイテク工業団地における若年女性中心の生産労働者と高度専門職労働者の2層構造などが特徴的であった。後者のホーチミン市都市圏の労働市場分析では、市内の国営企業、工業団地の日系企業、郊外の地場私営企業を対象とした。これらの労働市場では、階層化した内部労働市場を共通の特徴として、企業間・企業内の労働力の格差構造が顕在化していた、「社会主義」ベトナムでも、労働市場の形成が進展しつつあり、近隣のアジア諸国に類似した特徴をもつに至っていることが明らかになった。 今後は、各国マクロ・データの更なる収集によって、個別企業の労働市場分析だけでなく、アジア労働市場の全体像を解明すべく、本課題の年度計画に沿って研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)