2002 Fiscal Year Annual Research Report
技術連関表に基づく日本の生物科学研究の現状評価と政策立案に関する研究
Project/Area Number |
14530044
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
菰田 文男 埼玉大学, 経済学部, 教授 (60116720)
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Keywords | 科学・技術論 / 生物学 / 科学・技術政策 / バイオテクノロジー / 脳 / データベース / 技術連関表 / 日本経済 |
Research Abstract |
本研究の目的は、21世紀の科学・技術体系の中核になり、したがってまた経済発展や社会的ウェルフェアの最も重要な決定要因となるであろう遺伝子・バイオ工学及び脳科学など、広い意味で生物学あるいはライフサイエンスの進歩の方向性を見定めること、及びこの分野における日本の研究開発体制や政策の問題点を解明することである。平成14年度は予定通り、SCISEARCH, WPIという2つのデータベースを中心に論文数と特許件数を検索し、日本のバイオ関連の技術開発についての実態の評価をおこなった。とりわけ、遺伝子・バイオ分野の研究の中心となっている医薬品業界の創薬に焦点を定めたが、その中でも中心はタンパク質と化合物の相互作用やタンパク質の構造解析と機能解析が重要な国際競争の主戦場となっているので、この分野について検索した。その結果、日本は米国に次いでヨーロッパ諸国とともに世界で第2位の地位を占めといると一般に信じられているが、しかし実際には技術分野によって大きく相違していることが分かった。そして、単純な比較は戒めるべきだが、情報通信分野の場合と比較して、全体的に見て日本の水準は必ずしも高くないことが分かった。したがって、今後、創薬のうちのどの分野に研究開発資源を選択・集中するかも重要な戦略課題となることも理解された。 このデータベース検索と並行して創薬分野を中心にその技術開発のトレンドを把握するための文献考証をおこなった。その結果、現在がゲノムの塩基配列が解読されたことを受けて、それを利用してタンパク質の構造・機能解析に向かって世界が一斉に研究を進めようとしていること、日本では「ミレニアムプロジェクト」等の国家レベルでの取り組みを開始していること、しかし日本の民間企業の取り組みは医薬品分野の企業規模が欧米に比して小さいこと等を背景として楽観できる状況にないこと等が分かった。 本年度は、以上の研究に加えて、さらに当初予定していなかった大変重要な研究を行う基礎を確立した。すなわち、創薬につながるタンパク質の構造や機能については世界の企業や公的機関が多くの独自データベースを作成しており、それが日々拡大しているので、これを分析することによって世界のバイオ技術のトレンドを知り、また世界の中での日本の位置を知ることが出来ることが分かったので、これを次年度におこなうこととした。さらに、今年度は創薬を中心に分析したので、本来予定されていた脳科学の分野の日本の研究についての分析はおこなわれなかたが、来年度に行うことする。
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Research Products
(1 results)