2003 Fiscal Year Annual Research Report
ルーマニア・ブルガリアを含む中東欧諸国の欧州連合(EU)加盟と日本経済との関係
Project/Area Number |
14530051
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉井 昌彦 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (80191542)
|
Keywords | ルーマニア / 東欧 / エストニア / ラトヴィア / リトアニア / 市場経済移行 / 競争力 / 産業構造 |
Research Abstract |
平成15年度に現地調査を行ったエストニアとラトヴィア、及びリトアニアを含めたバルト3国に関し、より詳細な分析を行った。明らかとなった点は次の点である。 ・3国における市場経済移行は比較的順調に推移してきた。 ・マクロ経済安定化については、国内均衡は達成されているが、対外均衡に問題がある。 ・現在の貿易構造から、3国で競争力を有する産業は軽工業と畜産品であり、ハイテク産業やIT産業などをどのように育成し、輸出振興を図るかが重要な課題である。 ・3国の2004年5月のEU加盟後の目標は、EU市場で伍して競争できる市場競争力の育成とユーロ採択である。 ・競争力の可能性は、他の中・東欧諸国と同程度のレベルかそれ以上を有するが、クラスターの発達などを通じた中小企業の育成に問題点を抱えている。 ルーマニアに関しては、マクロ経済安定化および構造改革に進展は見られるものの、その進展は十分ではなく、また2003年の貿易収支赤字はさらに拡大していることから、マクロ経済安定化のみならず、競争力を向上させるためのより一層の政策が必要とされている。 また平成15年9月にスロヴェニア、ルーマニア、16年2月にスロヴァキアにおいて当該諸国の競争力の現状、EU加盟に対する問題点等の現地調査、資料収集を行った。スロヴェニアおよびスロヴァキアに関しては、2004年5月のEU加盟を控え、基本的なマクロ経済問題は解決されているが、直接投資誘致を含めた競争力向上政策、ユーロ採択のための一層のマクロ経済安定化が必要とされている。これらの問題に関するより詳細な分析は平成16年度の課題である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 吉井昌彦: "Industrial Policies in Romania : How to Increase Competitiveness"Kobe University Economic Review. No.48. 77-94 (2003)
-
[Publications] 吉井昌彦: "ルーマニアの産業構造と輸出競争力"比較経済体制学会年報. 40・1. 53-61 (2003)
-
[Publications] 吉井昌彦: "バルト3国の経済状況と政策課題"広島国際研究. 9. 47-63 (2003)