2003 Fiscal Year Annual Research Report
グローバリゼーション下における日本型金融とアジア型金融の推移に関する比較研究
Project/Area Number |
14530064
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
中尾 茂夫 明治学院大学, 経済学部, 教授 (70164126)
|
Keywords | グローバリゼーション / キャピタルフロー / 金融システム / アジア型金融 / 不良債権ビジネス / 資本市場 / 民営化 / 間接金融 |
Research Abstract |
今年度は、ゼミナール学生に依頼して、証券市場の定着度に関するアンケート調査と、グローバリゼーションに関するアンケート調査を行い、街の声を集めた。サンプル数は各300だが、一定の傾向(アジア志向と欧米志向の混在、あるいは、民営化には肯定的なるも、金融不安が消えない中、郵便局の人気が依然高い)が看取された。また、福岡に行って、アジア志向に関する金融機関の動向をヒアリングした。後者に関しては、雑誌『経Kei』に「福岡はアジアをめざす」と題して、発表する(平成16年4月号予定)。いずれも、アジア取引やアジア志向に対する実際の生の声を集めるのに力点を置き、日本の証券市場の推移と比較しながら、アジアの実際の証券市場の発展の様子について、ヒアリングを重ねた。 以上のように、今年度は、概して、実際のビジネスの現場や証券市場関係者から、日本もアジアも生の声を収集してヒアリングに努めた。それによって、実際には間接金融(とりわけ銀行)中心だった既存の金融システムにどのような変容が起こっているのかをフォローした。その結果、なかなか既存の金融システムに取って代わるほどのものではないものの、証券市場の活性化をめぐる政策は相当に進んでいて、とりわけ不良債権ビジネスや民営化のプロセスで一定の役割を果たしていることが分かった。しかも、上海は香港から、ジャカルタはシンガポールからというように、国際的なキャピタルフローを引き込みながら、不良債権や民営化ビジネスを行っていて、金融システムの改革が国際的キャピタルフローの動きと絡んでいることに特徴があることが分かった。しかも、その際のキャピタルフローの出自は、欧米系の投資ファンドや金融機関であることが多く、邦銀や日本の金融機関の影は薄い。 したがって、平成16年度は、本研究の3年度目であり、まとめでもあるので、そういった実際の現地で収集した声や見解と日本やアジアの金融システムに関するデータをつき合わせて、アジアの金融システムの変貌について、まとめとなる報告書を推敲したい。その際、キャピタルフローの推移と、そこで既存の金融システムの改革がどう関わるのかについて、一定の結論を出したい。
|
Research Products
(2 results)