2003 Fiscal Year Annual Research Report
第二次大戦後ドイツにおける社会的市場経済・社会主義的市場経済・社会主義計画経済
Project/Area Number |
14530094
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福澤 直樹 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10242801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石坂 綾子 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 講師 (40329834)
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Keywords | ドイツ / 現代史 / 社会的市場経済 / 社会民主主義 / 社会主義 / 社会政策 / 金融政策 / 労働者政策 |
Research Abstract |
戦後ドイツの社会政策分析を担当する福澤は、西独の社会国家体制の定着への嚆矢となった1957年の年金改革法の実現に西独型社会民主主義(ないし西独型社会主義的市場経済)が具体的にどのような影響を与えたのかの分析を行なった。西独社会民主主義が社会主義を標榜しながら実態として市場経済(ないし競争経済、業績主義)路線をかなり早い段階から辿ってきたことは前年度の研究で明らかにしたが、本年度はそれをさらに進め、当該年金改革法案策定やその審議過程においてSPDがとった具体的な行動やその果した役割を一次資料を基に解明し、背景としての社会民主主義的政策論との関わりを考察した。(投稿準備中)また並行してさらなる課題である東独社会主義計画経済下での社会保険の展開についての検討にも着手し、原資料を調達しつつその解析を進めている。 財政・金融政策分析を担当する石坂は、1950年代半ばから後半にかけての西独での金融・財政政策、経済政策の調整を核として社会的市場経済の実践の実態を明らかにした。当該時期の景気過熱、インフレ圧力下において、市場経済を旨としながらも実際に関係諸機関がいかなる連携を保ちつつマクロ経済政策が遂行されたのかを解明し、それを論文「1950年代西ドイツにおける景気安定化政策-レンダーバンク・連邦経済省・連邦大蔵省の政策連携-」に纏めた。 また、本研究科の研究協力者、石井聡氏に依頼し、東独社会主義計画経済の40年にわたる体制存続の要因を東独企業管理の最下部単位の作業班という組織を軸に検討し、この内容は、ドイツ資本主義研究会、中部ドイツ史研会で口頭発表され、間もなく論文としても公表される。同氏にはさらに西独の社会的市場経済おいて「市場の自由」と「社会問題の解決」のバランスがいかなる関係になっているのかをドイツの主要な労働時間法である閉店時間法の立法・改正過程通じて検討する作業を依頼した。
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Research Products
(1 results)