2003 Fiscal Year Annual Research Report
第二次大戦後の国際通貨・金融システムと国際決済銀行
Project/Area Number |
14530097
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
矢後 和彦 東京都立大学, 経済学部, 教授 (30242134)
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Keywords | 国際決済銀行 / 国際銀行業 / ユーロ・カレンシー市場 / 中央銀行間協力 / フランス銀行 / 日本銀行 / 金融規制 / 通貨外交 |
Research Abstract |
本年度は、当該研究課題に係る研究期間(3ヵ年度)の第2年度にあたり、研究課題の中心をなす資料の収集、および発展的な論点の構築に努めた。その概要は以下の通りである。 (1)安部悦夫氏との共著書を日本経済評論社より刊行した。同書には、「1930年代のフランスにおける金融制度改革--規制の起源と変容--」という論文を寄稿した。この論文では、国際決済銀行の創設期の問題状況を、ひろく欧米諸国の金融規制の発生と関連させる視点を提示し、金融規制におけるネットワーク組織論と関連させながら展開した。とりわけ、1930年代のフランスにおける金融制度改革が、国際決済銀行における政策構想とむすびついていた点が実証され、今後、中央銀行政策の国際比較研究につながる論点が展望された。 (2)国際決済銀行と日本銀行の関係を実証的に解明するため、歴代の日銀国際局関係者(3名)にインタビューをおこなった。インタビューからは、戦後の通貨外交の裏舞台や、国際決済銀行をめぐる各国の駆け引きなどの事情があきらかになった。 (3)夏季には、欧州に出張し、現地の史料を収集した。ここで収集した史料からは、これまで解明されていなかった史実が発見され、来年度以降の研究展開に大きく資することとなった。とりわけ、国際決済銀行の経営状態をあらわす未公開資料が獲得された。今後は、これまでに解明された国際決済銀行の政策展開にかかわる論点を、この経営資料と突き合せることで、より立体的な銀行経営像が構築されよう。 (4)各国の国際銀行業史の側面から、国際決済銀行、ならびに国際通貨・金融システムの構造を把握することをこころみて、フランスにおける国際銀行業史を回顧し、論点を整理した論文『日仏経営学会誌』に発表した。
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