2002 Fiscal Year Annual Research Report
革新主義期アメリカにおける安全運動と人事管理との関連に関する経営史的研究
Project/Area Number |
14530103
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
上野 継義 京都産業大学, 経営学部, 教授 (00183749)
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Keywords | 安全運動 / 環境経営史 / 経営史 / 環境史 / 産業エコロジー / 産業生態系 / アメリカ合衆国 |
Research Abstract |
本年度は,以下の2つの検討課題に沿って調査研究をおこない,学会報告と学術論文のかたちで成果を公表した。 1.人事管理運動の担い手たちの実態把握 1910年代に人事管理者へと自己形成しようとした「人間工学」の専門家たちの視点にひとまず方法的に立って,彼らの労務改革構想の特質を浮き彫りにした。当時の主要な労務管理技術のほとんどは,大企業に雇用され労務の諸側面にかかわっていた専門家たちの緊密なネットワークによって普及し改良された。管理の専門雑誌や業界誌,アメリカ機械技術者協会(ASME)や全国安全協議会など各種「準専門家協会」の機関誌や大会議事録などが,彼らの情報交換媒体として重要な役割を果たしたことはよく知られており,これが恰好の史料となる。だが従来の研究は,これらの史料を検討するに際して,管理運動の担い手の主体的な側面に充分配慮していたとはいい難い。上記の管理雑誌に掲載された彼らの論説は,そもそも同時代の冷静な観察者のそれではなく,いままさに立ち上がりつつある管理運動を鼓舞し,あるいは自己の専門職業領域を確保することに主眼があった。したがってテクストに現れた彼らの言葉は,その内容だけでなく,むしろその語り口調やそれが語られる時代背景に留意しながら分析されねばならない。この研究成果は,昨年6月開催のアメリカ学会第36回年次大会・部会D「革新主義(時代)再考」において,「人間工学の専門家による『野心的な社会実験』-革新主義期の労務改革の理念とその帰結-」のタイトルで報告し,批判を仰いだ。 2.安全運動の研究史的位置づけ アメリカの安全運動を「環境経営史」という新視角から位置づけるための準備作業として,この領域の研究史をまとめた。これは社会経済史学会のアメリカ研究者による出版企画『アメリカ経済史の新潮流』に参加するかたちでなされ,成果は研究発表欄記載の論説にまとめた。
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Research Products
(1 results)